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第7話 (R-18)
暑い。
いつのまにか日差しが本格的に強くなっていて、いよいよ夏到来って感じだ。
期末テストも無事に終わり、俺も友矢も再試や補習には何も引っ掛からなかった。友矢の心配だった物理もなんとかなったらしく、華麗な54点を見せつけてきた。まぁそんなもんだろう。ヨクガンバリマシタと頭を撫でてやったら、友矢が固まってしまい俺も動揺した。そこで照れるのか……
それから、もうすぐ夏休みだ。周りもどことなく浮き足立ってる感じがして、友矢も毎日ご機嫌である。
しかし、俺はちょっとだけ、考えていることがある。
きっかけは、テストが終わった次の日くらいの、友矢との朝の会話だった。その日の友矢は朝から少し静かだった気がするけど、眠いのかなって気にしなかった。なんてことない会話をしていて、それが少し途切れた時。
「あのさー」
珍しく低いトーンで話し出すから、俺は思わず友矢の顔を見てしまった。友矢は眉を寄せた不機嫌そうな顔で、どこか遠くを見つめていた。そして、
「一応……俺、練習したから」
こんな言葉を続けてきたのだ。
朝の光に照らされていると、友矢の耳や首が赤くなっているのがよく分かる。俺はその雰囲気でハッとなって、脳内は一瞬で宇宙に飛んだ。俺は無意識に「……わかった」とだけ返していて、友矢からは「ん」の一言で、その会話は終了となった。
え? 練習したって? 練習したんだ?
何の練習かは、なんとなく……ニュアンスは分かる。多分アレがアレになってアレするアレだろう。要するに……スケベだ。
前に言ってた先に進みたいって、そういうことだよな。
ちなみにその日は一日中、脳内のアレのイメージが強すぎて、俺は人から聞いた話が耳から耳に抜けていって何にも覚えていない。それくらいの衝撃だった。
家に帰ってから俺も調べた。
画面を覆い尽くす肌色を見つめながら、一体友矢は、どっちの練習をしたのだろうかと気になってしまう。俺も何かした方がいいのか、それとも、友矢の練習の成果を見せてもらえばいいのか。……え、練習の成果って、なんかエロいな。いや、エロいことしようとしてるんだけど。
一人で悶々と考えていたら、もうすっかり夏休み前だ。一緒に大人の階段を上る許可は、もう出てる。出てるんだけど、俺は一体いつ、どうやって友矢に声を掛けたらいいんだ……!
「今週末、俺の家族みんな、兄ちゃんとこ泊まるらしくてさ」
「えっ」
「……俺だけ、残るんだけど」
「えっ」
「俺んち、泊まりに来ても、いいけど……」
「……」
「……言ってる意味、分かるよな?」
友矢らしくない、ボソボソと続いた言葉に、俺は思わず生唾を飲み込んでしまった。それから、力強く頷いた。恋人と家に二人きり、何も起きないはずがなく……本当にいつもいつも、友矢の方が一歩先を行っている気がしてなんか悔しい。でも俺は元気に乗っかるしかない。
「……とりあえず、何持っていけばいい?」
遠足かな? ごめん。無知で。
俺の情けない言葉に、友矢はちょっとだけ笑って、でもまた照れ隠しの険しい顔になってしまった。
「ろ、ローションは、ある」
「……」
「ただゴムとかは……俺の大きさのしかない」
「……」
コンドーム。なるほど。
「あっ! それ俺のバイト先で買うのはやめろよ!」
「えっなんで?」
「ななななんでも! その辺に売ってるから!!」
友矢は珍しく取り乱していて、いや……冷静だったら逆に怖いんだけど。しっかり道端のガードレールに腰をぶつけていた。俺と並んで歩いてただけなのに。
労わりの意味も込めて腕を掴んで引き寄せたら、友矢がまた固まる。身体が触れ合っている状態がどうしようもなく気まずく感じて、俺はパッと腕を離してしまった。
そしてそこから終始、気まずい感じで学校に向かう事となり。
……だ、大丈夫かな。俺たち。
男同士のやり方はぼんやりイメージが浮かぶだけだったため、改めて調べると色々と大変なんだってことがわかった。
受け入れる側が尻の穴を使うってことも知ってはいたけど、いざ使うってなると、ちょっとずつ慣らしていく事が必要になるらしい。なんだかお高い専用の器具とかも使うとかで、俺には全く実感がない。俺は本当に自分の身体に関しては何にもしてないんだけど、大丈夫なのかな……
分からないことだらけだったけど、俺はとりあえずコンドームをポケットに仕込んでから友矢の家に来た。友矢は俺が泊まる事を予め伝えてくれていたのか、友矢の母さんが俺たちの夕飯を用意してから出かけてくれたらしい。だから学校帰りはどこにも寄らず、まっすぐここまで来てしまった。
「おばさんの手料理、久しぶりだ」
テーブルの上に並んだご飯を見て、ついそんな感想を漏らしてしまう。友矢はコップやら皿やらを用意しながら「すげー張り切ってたぜ」と笑っていた。
おばさんらしい、濃いけど美味しい味付けの焼きそばを二人で平らげて、二人並んで一緒に洗い物をした。俺が丁寧に皿をスポンジで洗っていたら、横から友矢にすごい急かされた。自分の家の皿だからって雑すぎる。でも、そんなどうでもいいやりとりが楽しかった。
今から一線を越えるかもしれなくて、それはそれで緊張するけど、やっぱり友矢と一緒にいるのは楽しい。なんて思っていたら、一息つく間もなく、すぐ風呂場に連行された。どうやら先にお風呂をくれるらしい。友矢はなんだかやけに元気だ。必死にいつも通りを装っているけど、多分、緊張しているのだろう。
着々と、進んではいるのだ。
とりあえず念入りに身体を綺麗にして風呂を上がると、友矢と交代した。その間、俺はじっと友矢の部屋で待っている訳だけど。
……本当に何もしなくていいのかな。
なんだか手持ち無沙汰になって、訳もなく部屋の中を歩き回ってしまう。もちろん、ベッドの下を見るなんて下世話な真似はしないけど。……そしてそこに興味がないと言ったら、嘘になるけど。
でも、さすがにそんな事はしない。怒られて気まずくなったら嫌だし。しかし、その、クローゼットから出ている服の切れ端が、どうしても気になってしまう。俺は几帳面な性格って訳でもないんだけど、あれはもう少し押し込めば綺麗に入るんじゃないか……?
別に覗く訳じゃない。押し込むだけ、押し込むだけ、と、自分に言い聞かせながら友矢の部屋のクローゼットを開ける。案の定、雑にハンガーに掛けられた服がずり落ちて、扉の隙間からはみ出ていたらしい。これを直すくらいなら……
「あっ」
と、思って、奥に手を伸ばしたら、何かがガタンと動いた。俺は嫌な予感がして咄嗟に手を引いたけど、まぁ遅かったらしい。
「あー……」
俺の手の隙間からまるで雪崩のように、大きな箱が崩れてきた。一体どうやって詰まっていたのやら。ガラガラと音を立てて、クローゼットの二段目に詰めてあった大きなダンボールが床に落ちる。そして、床に落ちた衝撃で、勢いよく中身が飛び出した。
「あ!?」
床に転がったドギツイピンク色の何かを見て、俺はつい大声を出してしまった。
あの……それ、男のチンコの形してる、いわゆるディルドって奴じゃ……
散らばった部屋の中で一点を見つめて固まる俺だが、無慈悲にもこちらへ歩いてくる音が聞こえてきた。まずい、友矢が風呂から出てきたらしい。
俺は非常に混乱していたらしい。慌てて箱を起こして、床に転がったディルドを素手で掴んだ。しかし、その最悪なタイミングで、友矢が部屋のドアを開けてしまった。
友矢の視界に飛び込んでくるのは、部屋とディルドと俺だ。
俺は、ほかほかの湯上りで上気していた友矢の頬が、一瞬で青くなってゆく様を見た。
「フラグ回収すんなバカ……っ!」
友矢はそんな言葉を言いながら、その場に崩れ落ちていた。
「すいませんでした」
俺は友矢の前で正座をして、とりあえず頭を下げている。何なら友矢も羞恥で爆発しているのか、頭を抱えたまま動かない、という構図だった。
「……ベッドの下は外したんだけどなー」
俺もそう思って見なかったんだけどなー。
俺だって見ちゃいけないものの分別はついている。そして、あのピンク色のものが見ちゃいけない部類のものだって、本能で分かった。だからいの一番に謝った。土下座だ。
でも、俺はめちゃくちゃゲンキンな奴だから、友矢がアレを使ってアレでアアだと思うと、どうしようもなく興奮してしまう。顔が耳まで熱くて、何なら鼻血まで出そうで、俺は顔を伏せたままあげられない。
「なぁ、お前……ソレ以外もなんか見た?」
すると友矢から、更なる爆撃が飛んできた。
「なんかって?」
「その……ソレ以外の……道具とか……」
「……他にもあるんだ」
「う……」
やばい、勃ちそう。ディルドでもヤバイのに、あの友矢が、もっとすごいものを持ってたりするのか。
そうやって、俺は必死に身体に力を入れて耐えていたから、友矢の表情が見えなかった。
「……ヘンタイでゴメン」
突如、ポツリと呟かれた一言が、今にも泣き出しそうな響きを持っていて、俺は思わず顔を上げた。
「バイト代は、全部それに使ってるし、夜に、その……一人で、いろいろ、やってみたりしてる」
「……」
「だ、だって! どうしても、さっさとお前の童貞もらっておきたかったから……」
ついに堪えきれなかった涙が、友矢の潤んだ瞳から落ちた瞬間、俺は友矢に手を伸ばしていた。ちょうど友矢の後方にベッドがあったから、そのまま勢いよく雪崩れ込む。
驚いて見開かれた目から、また涙が溢れてベッドに垂れてゆく。泣かせたのは俺だけど、煽ってる自覚がない方も相当だと思う。
だって、バイトも夜更かしも、全部、俺とエロいことしたくてやってたなんて。
「……バカだな、お前」
思ったより真剣な声が出てしまった。いじらしくて可愛くてどうにかなりそうって感情が「バカ」の一言になっちゃったのはゴメンだけど。でもこれ、俺が友矢を押し倒すみたいな体勢だし、俺が今めちゃくちゃ勃ってるのも、たぶん伝わってると思う。
「あ、えっと……」
すると、まるで、ぽぽぽ、と、音を立てるように、友矢の頬に赤みが戻ってくるのが見えてしまった。人間のこと食べてみたいだなんて生まれて初めて思った。でも食べるわけにはいかないから、俺はとりあえず友矢の唇へ噛み付いた。
「ん……んぅ…っ」
やばい、キスって気持ちいい。
友矢の鼻から抜けるような声が可愛い。勢いでやってしまった大人のキスってやつだけど、ベロとベロを擦り合わせるだけで、こんなに気持ちいいなんて。すごい。
腰がびりびりして、つい前後に揺らしてしまう。気づいたら友矢の脚と絡まっていて、お互いに股間を擦り付けあうみたいなことをしていた。
それが何だか獣みたいで、更に身体がカッと熱くなる。
じゅ、と口内を吸ってから唇を離すと、友矢の口元は唾液でべちゃべちゃで、目がとろんとしていた。泣き出す一歩手前のようで、どこかぼーっとした表情が可愛くて、気づいたら俺は友矢のむき出しのおでこに、音を立ててキスしていた。
「……ぅへぁ」
すると、やっぱり発音不能な声を出して、友矢はゴロンと転がってしまう。カッコイイ、とか何とか聞こえた気がする。
「ともや、つづき」
「……ん」
俺が急かすと、友矢はずりずりと上体を起こして、ちゃんとベッドに寝てくれた。俺はそこに跨るようにして、とりあえず友矢の上半身の服を捲った。
「いっ、いいよ! 上は触んなくていいよ!」
「えっ」
「ちゃんと準備したから、もういけるって!」
「……」
「あっ、でも電気! 電気は消してくれよな!」
なんていうか、まな板の鯉が必死に喋り掛けて来ている、みたいな感じだ。
とりあえず電気ぐらいは暗くしたけど、俺は色んな所を弄りたい。ほどよい筋肉のついたすべすべの上半身を触っていたら、友矢はびくびく震えて蹴りを入れてきた。危ない。
「とーもーやー」
「……んぐ」
「……後でぜったい触らせろよ」
「……」
返事はないけど、暗闇なのをいいことに俺は距離を詰める。めくったTシャツの隙間に顔を突っ込むようにして、鎖骨のあたりに噛み付いた。
「あっ、ぅ」
ついでに、きつく吸ってみる。跡がつきますように。
「……っ、う」
友矢から攻撃が飛んでくる前に、俺はジャージの下をずり下ろす。一気にパンツまで下ろしたのは友矢も予想外だったのか、元気に飛び出して来たチンコを、慌てて手のひらで隠していた。
まだ半勃ちだけど、皮は頭まですっぽり被っている。色も薄くて、なんだか猛烈に可愛く見えて俺は勝手に丁寧に剥いていたら、震えていた友矢がいきなり起き上がった。
「おっまえ、ずるい!」
「っちょ、」
その勢いのまま、俺の股間を掴んでくる。もちろん俺も勃ってる訳で、べろんとめくれば息子はすぐに飛び出してしまう。
……あんまり人のチンコとか見ねぇからよく分かんないけど、俺はもう、よくあるAVと同じ形とか色をしている。人よりも発達が早いのか何なのか、いわゆるズル剥けってやつで、それがちょっと、コンプレックスなのだが。
「お前ってチンコまでかっこいいのか……」
友矢はなぜかまじまじと俺のチンコを見つつ、ちょっと惚けた顔で感心している。……そんな反応されるとは思ってなかったな。
「……あんま見んなよ」
「わ、わかったよ。じゃあさ、ゴム、俺が付けていい?」
どんなじゃあさ、なのかは分からないけど、こすこすと擦られながらそんなことを言われて暴発するかと思った。俺は慌ててポケットからゴムを取り出して友矢に渡す。視覚の暴力がすげぇ。
友矢は、少し辿々しい手つきながらもくるくると器用に、俺のチンコにゴムを綺麗に装着してくれた。うまくできて得意げな顔と、その眼前にある勃起チンコのアンバランスさがすごい。エロい。
「よし、じゃあ挿れろ」
「まだだよ。慣らしてねーだろ」
「……えー、いいよ別に…っ、ぁ、ちょ……」
友矢のチンコも軽く擦りながら、ジャージとパンツから足を抜かせて友矢の下半身を脱がす。そのままぱかっと足を開いて尻の穴を擽った。確かに、中に何かが仕込んであるのか、なんとなくぬちゃっとしている。でもこんな狭い穴にいきなり挿れるわけにはいかねぇだろ。あと、触ってみたいし。
俺は身体を伸ばして、ディルド(の入っていた)箱から手探りでローションを見つけると、手のひらにぶちまける。自分の秘密箱を我が物顔のように使っている俺に何を思ったのか、友矢はジトっとした目でこちらを見ていた。
でもそれには気づかなかったことにして、俺はローションをまとった中指を友矢の尻の穴に挿れる。……すごい。あったかいし、やっぱり狭い。
「ん…ぅ……」
きゅうきゅうと俺の指を締め付けてくるみたいな、そんな感触だ。友矢は恥ずかしいのか、近くに転がっていた枕を抱えて顔を伏せてしまった。でも、身体はビクビク震えているから、気持ち悪くはないんだと思う。
狭いけど、もう一本挿れられるかな。ぬこぬこ動かしながらローションを足して、すりっと人差し指を足してみた。
「あっ♡ ぁぁ、ぅ……」
……友矢からちょっとエロい声が聞こえた。聞いたことないようなやつ。指を足したら、空気をはらんだのか、ぐぱぐばと音が聞こえて来る。やばい。更にエロい。緩んだ隙にもう一本、薬指を足したら、友矢が本格的に暴れ始めた。
「な、なぁっ! も、っ、いいだろ! んっ♡ んぅ…っ!」
「わ、わかった……」
悪戯心で、ぐぱっと穴を広げたら、中のローションが糸を引いていてめちゃくちゃエロかった。ここに突っ込んだら気持ちいいんだろうなって分かる。ていうか、友矢の身体にこんな場所があるなんてって思うと、めちゃくちゃに興奮するよな……
俺はずっと臨戦体勢だったチンコを取り出して、穴に擦り付ける。枕を抱えていた友矢が、不安そうにこちらを見た。
俺は思わず顔を寄せ、友矢の髪や頬にたくさんキスをした。すると、ちょっとは落ち着いた顔になってくれたと思う。
「友矢、挿れるよ」
「ん……」
そのまま足を開いて、正常位の体勢で挿入する。先っぽがあったかくなって、そのままずりずりと、俺の息子があったかい場所に飲み込まれてゆく。
「……はぁ、ぁ」
「う、あっ、あつい…♡」
半分くらい挿入ったところで、お互いにふーと息を吐いた。暑い。汗がじっとり張り付いていて、俺も服を脱げば良かった。仕方なく服をめくって額の汗を拭いていると、急にきゅんと友矢のナカが締まって、俺は思わず喘いでしまった。
反射的に友矢を見ると、枕越しに潤んだ瞳がこちらを見ていた。
「ん、なぁ、も、挿入ったぁ…?」
「……いや、あとちょっと」
俺がそれを告げると、友矢の瞳が更に溶けたのが分かった。
「あ、あう♡ むり、も、きもちぃのに…♡」
今度は俺がきゅんってなって、絶対チンコがでかくなったと思う。無意識に腰を揺らしてしまうと、枕をぎゅっと抱きしめた友矢が耐えられないように震えていた。
ずり、ずり、と中に挿入ってゆく。気持ちいい。一気に挿れてしまいたい。でも、このままゆっくり溶けるのもいいなぁって。
「なぁ……なぁっ♡」
俺が半ば意識を飛ばしながら動いていたら、友矢に呼ばれながら腕を掴まれた。
「……なに?」
「なまえ…よんでいい?」
不安そうに飛んできたのはそんな一言で。わざわざそんなことを聞いてくるのは変なことかもしれないけど、今の俺には何故か無性に、心に刺さった。
「いーよ」
その言葉と共に、ぐーって前に腰を動かして、チンコをすっぽり全部挿れる。友矢は「あっ♡ あっ♡ ふぁぁっ♡」って、すごい可愛い声をあげて俺を受け入れてくれた。びくびくと動く友矢の足を押し込むように、俺は体重を掛けた。
「ともや、」
「ん…♡」
「ぜんぶ、挿入ったよ」
「んっ♡ ふ、へへ、あっ♡」
奥まで繋がれた事が嬉しくて、つい笑ってしまう。きっと友矢も同じ気持ちで、真っ赤な顔で、幸せそうに笑っていた。それから。
「ゆい…♡ だいすき♡」
そんな言葉まで言ってくれて、俺はまた身体がカッと熱くなるしチンコはデカくなるし、もう本当に、興奮する。
「あっ! ん、だめっ♡ …っ、ゆいっ♡だめぇっ♡」
「だめじゃねぇだろ…っ!」
「だめっ♡ きもちぃよぉっ♡ あっ! ふぁっ♡ああぅっ♡」
友矢の持っていた枕を強引に奪って放って、覆い被さりながらズコズコと腰を動かしてしまう。俺の下でばたばた暴れながら喘ぐ友矢がエロくて、こんな乱れた姿が俺だけのものだと思うと、どんどん腰の動きが早くなってしまう。
「あっ♡ ゆい、ゆいっ♡ イくっ♡ おれ、イッちゃうよぉっ♡」
「ンッ、ぅ、おれも……ッ!」
「ゆいっ♡ すきっ♡ アッ♡すきっ♡ アッ……っ!!」
俺の動きに合わせて、友矢のチンコからぴゅっぴゅっと精子が飛んで腹に散った。思わず出たみたいな情けない勢いと中の締め付けにやけに興奮して、俺は一気に絶頂へ駆け登ってしまった。
「……っ、……うッ」
コンドーム越しに友矢の中へ射精する。ゴムがあるのに絞られるというか、俺の出したものが奥へ誘われるような感触がして、思わず惚けた顔の友矢を睨んだ。お前はどこまでエロくなるんだ……
俺の視線に気づいたのか、放心していたはずの友矢と目があった。しかし、すぐに何故か泣きそうな顔になる。
「ゆい、ぁ、あう…っ♡ おれ、まだイって…♡ んん……♡」
「ああ……ちゃんと、出てないのか」
たらたらと未だに精液が垂れ続けている友矢のチンコから、ぐいっと頭を出してやる。それから、俺は親切心で、最後まで精子が出るようにこすこすと扱いてやった。
「んんんっ♡ あっ! やらっ♡ ゆいっ♡それ♡ らめらってぇ♡♡♡ ふゃっ♡♡っ、ぁぁぁっ!♡♡♡」
とんでもなくエロい悲鳴をあげながら、友矢はチンコに残っていたものを全部飛ばしたらしい。友矢は全身くたくたの、暗闇でも分かるくらいの真っ赤で、びくびく震えている。まだ息すら整っていない。
「はぁ…ぅ、……うう、も、ばかっ♡♡♡」
……エロい。
涙目でそんなこと言われても、興奮するだけだよなぁ。
あと、実はまだ俺のチンコ、お前の中から抜いてなくて……
つい、ゆさゆさと腰を揺らしてしまう。すると友矢は泣きそうな顔をさらに歪めて、俺に上目遣いで懇願してくる。ああ、可愛いなぁ。
「……ともや」
「あっ…、んぅ…♡ まってぇ♡」
「ともや、もっかい♡」
「んんん〜っ♡♡♡ やだぁ♡♡ きもちぃからもうやらぁ♡♡♡」
「気持ちいいならいいだろ。一緒に気持ちよくなろうな……♡」
「あっ♡ ぅあっ♡ あんっ♡♡♡ も、ゆい〜ッ♡♡ らめらってばぁ♡♡♡♡」
結局、抜いたり抜かなかったり、とりあえず4回戦くらいやって、ようやく精魂尽きたって感じだった。
俺の横ですよすよ眠る友矢は、もはや気絶だ。悪いとは思ってる。でも最後、泣きながら気持ちいいとか好きとか言ってたのは、正直すげー興奮した。……もしかして俺ってそういう癖があるのかもしれない。今更だけど。
色んな汁が飛んだけど、ベッドにはちゃんとバスタオルが敷かれていて(さすが友矢)マットレスには染みてなかった。とりあえずその辺を綺麗にして諸々の処理が終わったため、今はぼんやりとした朝の気配を感じながら、俺は眠る友矢を観察していた。
「ん……」
と思ったら俺の視線で友矢は起きてしまったらしい。
キョロキョロと辺りを見渡しても、すぐ横に俺の顔があることには気づいていた。そりゃ、シングルベッドに男二人の添い寝は狭いもんな。色々な記憶を思い出したのか、もぞもぞと居心地悪そうにタオルケットを引っ張っている。
「……友矢、身体、平気?」
「……ん。大丈夫。……多分」
喘ぎすぎて声がカスカスだ。
「なぁ、せめてパンツくらい履きたいんだけど」
「あー……どっかいった」
「うう……」
すり、と衣擦れの音がする。どうやら友矢は剥き出しの足を擦り合わせてるらしい。下半身に何も身につけてないって、結構スースーするよな。……俺は履いてるけど。
「なー、友矢」
居心地が悪そうな友矢に、ふと疑問に思ったことを聞いてみた。
「何?」
「さっき、なんで俺の名前を呼びたいなんて言ったの」
それを言うと、友矢は「あー……」と視線を逸らした。その表情はなんだかバツが悪そうで、どうやら記憶は残っているらしい。
「……唯ってさ、自分の名前、好きじゃないだろ」
ボソボソと続けられた言葉に、俺は思わず目を瞬かせる。確かに、唯 という自分の名前は、ちょっと女の子っぽくて苦手だった。親から貰った大事な名前なのは分かってるけど、思春期の多感な時期には色々と不貞腐れていた。誰かに弄られるのはもってのほか、名前を呼ばれるのすら嫌だった。
「だから……あんま、呼ばない方がいいのかなって」
普段から気をつけてる。そこまで続いた言葉に、今度の俺は目を見開いてしまった。……そういえば、俺は友矢から下の名前で呼ばれた記憶があまりない。友矢が俺を唯と呼ばなくなったのは、いつからだろうか。
もしかしてずっと、俺のことを気にして、名前を呼ばないようにしていたのか。
そう考えたら、もう何度目か分からないけれど、ぎゅって胸が熱くなって。俺は目の前で居心地悪そうにしている友矢を静かに抱き寄せた。
「……ぜんぜん気づかなかったな」
すげー今更だけど、友矢って俺のこと相当好きじゃん。
俺だって、ずっとずっと、もう10年くらい好きなんだけど。
色々な思いが込み上げて、素足を絡ませながらぎゅっと抱きしめると、友矢は、ははっと笑って抱きしめ返してくれた。
「お前、けっこーポンコツだもんなー」
俺に対してそんなことを言ってくるのは、きっと友矢だけだ。今までも、これから先も。
「なー友矢」
「なに?」
「好きだよ」
「……んふふ、俺も好き!」
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