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第32話もっと欲しい★
手袋を捨てた。
さっき自分でペニスを扱いたから、手袋が汚れてしまった。さすがにこれをまた洗って使う気にはなれないから、捨てるしかない。
替えはあるからひとつ捨てても問題はないけど……これを作って渡してくれる科学研究所の先生に新しいものをくれるよう頼まないとかな。
「手袋捨てたの?」
声と共に、腰に腕が回される。
「え? あ……はい、さっき、汚れちゃったから」
言いながら俺は、自分の両手を見つめる。手袋のない手は見慣れない。
本当なら、とっくに手袋なんてしなくていいのに。俺はまだにこの手袋をしていないと不安にさいなまれてしまう。
「替えは持って来てるの?」
「はい、持って来てあります」
スーツケースの中に入ってるはずだから出さないと。
なのに、奏さんは俺の身体を強く抱きしめて、唇が首に触れる。
「ここ、ちょっとだけ痕ついちゃったかも」
笑いを含む声で言い、奏さんは俺の首に口づけた。
そんなところに痕が付くのはちょっと困る。
バイトはワイシャツだから隠れるだろうけど、Tシャツなどではまず隠しようがない。
私服でシャツなんて持ってないし。
「か、奏さん……」
さっきオナニーしたばかりなのに、俺の身体はすぐに反応を示してしまう。
少し触れられただけで、奏さんがほしいっていう気持ちが徐々に膨らんできてしまう。
「どこにも行かせたくないのに。明日はバイトで、明後日お父さんに会うんだっけ」
「そ、そうです」
言いながら俺は、腰に回された奏さんの手に自分の手を重ねる。
手袋をしていない手で人に触れるのは未だ慣れない。奏さんじゃなければ俺は、触れたいとも思わないだろうな。
首に口づけられて舐められて、ぞわそわとした感覚がそこから生まれ、背筋を這う。
このままじゃ欲しくなる。奏さんのペニスで奥を突いて、ぐちゃぐちゃにしてほしい。
射精だけじゃ物足りない。
「奏さん……俺……もっと欲しい……」
「まだ昼間だけどいいの?」
言いながらも奏さんは俺への愛撫をやめない。
首を舐め、音を立てて肌を吸い上げる。
確かにまだ日は高い。
さっき時計を見たとき二時を過ぎたところだった。でも、一度スイッチが入ってしまった俺は我慢なんてできるわけがないし、この状況で我慢する理由もないだろう。
俺は奏さんの方を振り返り、余裕のない声で言った。
「欲しい、から……お願い」
風呂場で腹の中を綺麗にされた後、湯船の中で俺は奏さんの上に跨り首に腕を絡めて口づけた。
奏さんのペニスはとうに大きく膨らみ、俺の尻に当たっている。
「ン……奏さん……」
うっとりと呟き彼を見ると、奏さんは俺の腰を掴んで言った。
「自分で挿れて?」
そして奏さんは俺の腰を掴んで上にあげ、後孔にペニスの先端を宛がった。
「あ……」
さっき中を綺麗にされた時、散々弄られたからそこはぱっくりと口を開けている。なので少し腰を下ろせばすぐに入るだろう。
俺は、片手を奏さんのペニスに添えて、ゆっくりと腰を下ろした。
俺の後孔はすんなりと奏さんのアルファ特有のでかいペニスをおいしそうに飲み込み、奥へと導いていく。
「あぁ……」
「もう少しで全部入るから」
もうかなり深いところまで入っているような感じがするのにまだあるのかよ?
俺は大きく息を吐いて腰を落とし、天井を見上げた。
「ほら、全部入った」
うっとりと言い、奏さんが俺の腹を撫でた。
「ここに、僕のが入ってる」
そんなこと言われると恥ずかしい。
何も宿ることのない俺の腹を、なんでこんな、愛おしそうになでるんだろうか、この人は。
奏さんは俺の腰を掴んで、ゆっくりと上下に動かし始めた。
「緋彩、どこが一番気持ちいい?」
「んン……」
どこが気持ちいかなんてわかるわけがない。
前立腺も、奥も、内壁を抉られ拡げられる感覚も、全部が気持ちいい。
「全部、気持ち、いい……」
「全部か。じゃあ、これは?」
奏さんは俺の乳首に口づけ歯を立てた。
「あぁ!」
噛まれてびくびくと中が収縮するとか、俺、どうかしてるだろう?
痛い、って思うのに出てきた言葉は全然違うものだった。
「かなでさん……乳首、きもち、いい……」
「あぁ、中、すごい締め付けてくる」
乳首と中から生まれる快楽で、俺の脳はどんどん侵されていく。
俺は奏さんの首に腕を絡めて自分から腰を揺らした。
そのたびに風呂の湯が揺れ、湯船からあふれ出る。
「自分から腰揺らして、可愛いよ、緋彩」
「んン……奥、気持ちいい」
このままだとお風呂の中で出してしまいそうだ。
お湯が汚れる、そう思うのに腰の動きは止まらない。
「で、ちゃう……奏さん、いっちゃう、からぁ!」
俺の声とは思えないほど高い声が響く。
「イっていいよ、お風呂なんて洗えばいいんだから」
そして奏さんは俺の乳首をがぶり、と噛んだ。
「あぁーーー!」
ひときわ大きな嬌声をあげ、俺の身体がびくん、と震える。
今日、一回イってるから大して出なかったけど……お風呂の中でイってしまった、という罪悪感が俺の中で大きく膨らんでいく。
けれどそれは、奏さんに与えられる快楽に上書きされ、すぐに奥へと沈んでいった。
「僕も、中に出すよ?」
余裕のない声で奏さんがつげ、腰の動きが止まる。
俺の中で奏さんのペニスが大きく膨らみ、熱いもので満たされていく。
俺は大きく息をつき、彼を見つめて言った。
「奏さん……好き……」
すると、奏さんの手が俺の背中に回り、身体を引き寄せられる。
そして彼は優しく微笑み言った。
「愛してるよ、緋彩。君は、僕のものだ」
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