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ハッピーハロウィン3
「……ッン」
ヤバイ、まずい。
咥内蹂躙する舌に脚に触れてくる手。
まじで本気って伝わってくる優斗さんの行為に焦りながらも息子が反応しかける。
「っ……捺くん……」
壁に押さえつけられて甘く掠れた声で囁いて何度もキスを落とされる。
手が後ろへ回ってケツ撫でて―――って、マジやばいって!!
流されそうになってる自分にダメだって言い聞かせるけど優斗さんは攻める手を休めない。
あー、どうしよう!
グラグラしてたら、
「ゆーにーちゃん?」
ってドアの向こうから実優ちゃんの声がした。
「大丈夫? 捺くんもいる?」
「う、うん! ちょっと具合悪いみたいで」
ぴたりと動きを止めた俺と優斗さん。
とりあえず優斗さんから離れようとしたらまた抱きついてくる。
実優ちゃんに見られていいのかよ!
「お水持ってこようか?」
「……そ、そうだね」
「そいつら放っておけ」
水持ってきてもらう間にドア開けて優斗さんに少しでもシャキッとしてもらってー……って考えながら返事したら松原の呆れたような声が響いた。
「どうせイチャイチャイチャイチャイチャイチャえろいことしてるだけだろ」
「……」
「えーでも本当に具合わるいのかもしれないよ」
「んなわけあるか。お前だってこいつらのバカップルぶり知ってるだろ。絶対ヤってるぞ」
「……」
「そ、そうなの?」
「んなわけねぇだろ!! 実優ちゃん誤解!!」
半分は本当だけど、さすがにヤるわけない!
勝手なこと実優ちゃんに吹きこんでる松原にイラッとしてドアを大きく開いて叫んだ。
「捺くん……熱い」
けど―――そう言って優斗さんが俺を背中から抱きしめてくる。
「「「……」」」
実優ちゃんが顔を赤くして、松原がそら見たことかって感じの顔して、俺は―――……優斗さんの腕を掴むと、
「酔い覚ましてくる!! 散歩!!」
って優斗さんを引っ張って逃げることにした。
「大丈夫?」
「もう帰ってこなくていいぞ」
「……」
背中にかかってくる二人の声に俺はなんて返事をすりゃいいのか。
「捺くん、ちょっと待って!」
ため息つきながら俺にもたれかかっている優斗さんと部屋を出ていこうとしてたら実優ちゃんが追いかけてきた。
「これあげる」
そう渡されたのは小さな花束。
「ありがとう……?」
なんで花束って内心首を傾げる俺に実優ちゃんは満面の笑みを向けた。
「お散歩なら庭園に行ってみるといいよ。すごく綺麗だから」
「そうなんだ。行ってみようかな」
「行ってらっしゃい!」
バイバイと手を振って、俺は優斗さんを支えながら言われたまま庭園へと向かった。
***
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