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ハッピーハロウィン4

酔いで熱くなった身体には外は涼しく感じた。 ……最初のうちは。 でも俺よく考えたらノースリーブ! ミニスカだし、めちゃくちゃ寒いんだけど!! 庭園のほうへと歩いている時点でどんどん身体が冷えてく。 優斗さんはトイレ出てから全然ぴくりとも反応しない。 俺にくっついて歩いてはいるから起きてはいるんだろうけど。 「うあー寒いな……。庭園一周したら部屋行こうかな」 ライトアップされた石畳を歩きながら呟く。 少し歩くとアーチがあってそれをくぐるといろんな花が植えられた花壇が広がっている。 そしてその向こう側に小さな建物があった。 白い造りの屋根が丸くなってて、尖塔に十字架。 教会みたいだなって近づいてみた。 扉には鍵がかかってなくって中を覗いてみる。 「……あれ、ここって結婚式とかするところかな?」 実優ちゃんたちの結婚式はこのホテルじゃなかったけど、似たようなところで挙式していたの思い出した。 奥にはステンドグラスがはめ込まれていて月明かりで静かに輝いている。 「優斗さん、座ろう」 外に比べると全然あったかかったから少しだけ休んで行こうかなって優斗さんと二人椅子に座った。 俺の肩に頭を乗せて目をとじる優斗さん。 眠かったのかな。やっぱり部屋に戻ったほうがよかったかなぁ。 でもいま起こしたら可哀想かなって悩んでしばらくそのままにしておくことにした。 暇だからぼーっと周り眺めたり実優ちゃんからもらった花眺めたり、優斗さんの寝顔眺めたりする。 肩に感じる重みとか体温とか無防備な寝顔とかそういうの見れたりするのって地味に嬉しい。 「……あー……でもこんなとこで本格的に寝たら風邪ひくかな」 どれくらいで起こそうか。 って悩んでいたら優斗さんが身動ぎして俺を抱き寄せた。 「……冷たい」 そして小さな呟きが聞こえてきた。 優斗さんを見ると、眠たそうに目を開けて顔を上げた。 視線があって笑いかけたら一瞬眉を寄せて優斗さんはため息をつく。 「ごめん……。俺ちょっと飲み過ぎたかもしれない」 「たまにはいいんじゃない?」 少し酔いがさめたのかな? 申し訳なさそうな表情の優斗さんに平気だよって抱きしめ返す。 「……やっぱり冷たい」 優斗さんはため息をまたつくとマントをとって俺にはおらせた。 「ごめんね、寒かったよね」 「ちょっとね。でも優斗さんとくっついてたから暖かかったよ?」 それに俺男だし少しくらい平気、丈夫だよ。 って笑えば優斗さんは苦笑いを浮かべてぎゅっと俺を抱きしめた。 そうされると身体が冷えてたんだなって実感する。 マントのお陰もあるけど優斗さんに抱きしめられて暖かさにほっとした。 「ここ……ってチャペル?」 「ん? たぶん、そうじゃないかな。酔い冷ましに散歩きたら見つけて入ってみたんだ」 「……そっか」 「全然覚えてない?」 「……うん」 またまたため息をつく優斗さんがおかしくてつい吹きだした。 「貴重な優斗さんが見れて面白かったよ。少し焦ったけどね」 「……何したの俺……って……あー」 「思い出した?」 「なんとなく」 「明日たぶん松原に冷やかされるよ」 「……ごめん」 「俺は全然平気だって」 「……うん」 抱きしめあったまま笑いながら喋って―――途切れたら、優斗さんが顔を覗き込んで微苦笑しながらキスしてきた。 触れるだけのキスを何回か繰り返す。 「部屋、戻る?」 俺の方がちょっと欲求不満になってきたかも、と訊いてみた。 そうだね、って優斗さんも目を細め手を繋いで立ち上がる。 「……あれ? それどうしたの?」 優斗さんが目を止めたのは実優ちゃんからもらった小さな花束。 「実優ちゃんがくれたんだよ」 「実優が?」 ふうん、と呟きながら優斗さんは花束とそして俺を見比べた。 何かに気づいたように視線が俺を確認するように頭から足まで移動する。 「どうかした?」 「……いや。ね、捺くん。こっち来てみて」 出口じゃなくて祭壇の方へと優斗さんが手を引く。 なんだろうと思いながら一緒に祭壇の前まで行った。 そして向き合って、優斗さんが俺に羽織らせてたマントをとった。

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