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媚薬なHONEY 2

「……」 「……」 凍りついたように固まってるクロくんに夢中になってキスしてる捺くん。 俺も朱理くんも、もちろんクロくんもまさかの事態に呆然として動けなかった。 でも捺くんから甘ったるい声が聞こえてきて我に返って立ち上がるとふたりを引き離す。 「……ッ、てぇ!」 つい力が入ってしまってクロくんが転んだのはあとで謝っておこう。 「捺くん」 「ゆーとさん……」 濡れた唇に頭がガンガンする。 酔ってる上に媚薬飲まされてきっといま捺くんの性欲はマックスなんだろう。 それはわかるけど、でもクロくんに……、 「キス……」 するなんて……。 「なんか今日……下手だね? どーしたの?」 「……」 「……」 「……」 不思議そうな捺くんの言葉に一瞬シンとして、次の瞬間後ろで朱理くんが吹き出す声が聞こえた。 「ッ、捺……っ、てめぇっ! 朱理も笑うなッ!!」 少し涙声になってるような気がするクロくんの声。 「……ていうかクロ……なに反応してんの」 散々笑ったあと、ぼそりと朱理くんが言って、ちらりと振り向いたらクロくんと目があった。 「……ひっ! い、いや、あ、あの優斗さんッ! お、おれは! 俺の好みは優斗さんのような大人の男でっ! 捺みたいなっ」 「なに言いだしてるんだよ、クロ……」 「気にしないでいいよ、クロくん。捺くんも俺と勘違いしただけだしね」 顔を青くさせて焦りだしたクロくんに笑いかける。 一層青くなったような気がするけど気のせいだろう。 それよりも――― 「捺くん」 「なーに?」 「……」 「……んっ、ん……ふ……ぁ」 とりあえず捺くんに少しでも落ちついてもらおうと、仕方なく俺からキスをしてあげた。 いつもより熱い咥内はアルコールの匂いが充満している。 酔っているせいか呼吸も乱れてて、ちょっと咥内を荒らしただけで捺くんの口端からは唾液がこぼれていた。 「……ん」 親指でそれを拭ってあげながら、もっとと身体を寄せてくる捺くんを抱きあげる。 少し重いけどしょうがない。 子供を抱っこするように抱えると捺くんも首に手を回してきた。 「タクシー拾って帰るね。お騒がせしてわるかったね、朱理くん、クロくん」 「…………いえ」 「…………は、い」 何故か顔を赤くしているふたりに、今度改めてお礼をするね、と言っていたら、 「やっぱり、ゆーとさんのちゅーじょうずだった! よかったー」 と、艶っぽい顔を緩ませる捺くん。 「……」 「……」 「……」 また朱理くんが吹き出して、クロくんは捺くんを睨んでいて。 俺はため息をつきながらタクシーを捕まえると――― 「ゆうとさん、もうむり」 抱き抱えたときから気づいていた、硬くなってる半身をタクシーの中だというのに擦りつけてくる捺くんに、しかたなく近くのラブホテルへと向かってもらったのだった。 ***

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