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第9話「意味不明」*彰

 知ってた、仁が、オレのことを大好きだったのは。  友達の弟が兄を好きなのより、もっと強く好きそうだなーと思ってたけど、それは本当の兄弟じゃないからかなと、思っていた。  自分でも気づかない位の、きっと少しの遠慮がある分、本当の兄弟ならあるはずの喧嘩もなかったんじゃないかと。  オレは、途中からできた可愛い弟が、本当に可愛すぎて、めちゃくちゃ可愛がってたし、そのせいもあったかも。  仁は成長するにつれて、どんどん、誰が見ても認める位、カッコよくなっていって。   もう全然「可愛い」じゃなくなった。  中学で背を抜かれたし、剣道のせいなのか、結構逞しくて、もう、守ってやるとかそんな感じではなかった。  よくモテるみたいで。  彼女もちょこちょこ変わってたし。     だから、好き、なんて。  キスしてくるとか、マジで意味が分からない。  思春期で、なんか、一時的におかしくなっちゃったのかなと思って。  とにかく、騒がないで、  落ち着かせようと、決めたのだけれど――――……。  仁から来る熱が、半端なくて――――……。  じりじりと、焼かれていくみたいな。      なんだか、時が経つにつれて、辛くなってきた。

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