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第24話「突然の再会」
鍵を開け、ドアを少し開いた瞬間。
向こう側からドアをつかまれ、ぐい、と開かれてしまった。
「……え……」
当然ドアを掴んでいたままのオレはそれに引きずられるように体勢を崩した。咄嗟にやばい奴かと思い、身構えながら、その当人を見て――――……。
「――――……」
完全に言葉を失った。
「……不用心すぎじゃねえ?」
呆れたような口調で、オレを見下ろしてる、背の高い、男。
聞き覚えのありすぎる、声。
整った顔と――――……強い、瞳。
「相手、確認せずに開けない方がいいよ」
少し眉を寄せて、じっと、オレを見つめてくる。
「――――……じ……ん……?」
「……うん――――……なに? 弟の顔、忘れた?」
……忘れる訳がない。
――――……ただ、目の前の存在が信じられないだけ。
「やっと、高校卒業した。大学、同じとこだから。オレもこっちに住む」
「――――……は?……」
二年振りに会った弟は、背も伸びて、あの頃少し残っていた子供っぽい表情は完全に無くなっていて。
――――……びっくりする位。大人っぽい、良い男になっていた。
「彰がOKくれるなら、彰んとこに世話になることになってる」
「――――……って、え? ここ?」
「母さん達には黙っといてもらった。オレから、ちゃんと話すからって」
「――――……」
……それで、返事、無かったのか。
忘れたんじゃなくて、敢えて、返事してなかったんだな、仁の大学……。
何考えてんだ、あの人たち……。
事前に連絡しろよ……。
心の中の言葉を、遠くに居る家族に向けて投げつけていると。
仁は、まっすぐにオレを見つめた。
「色々話す前にさ、いっこだけ先に許してほしいんだけど」
「……なに……?」
「彰、て呼ぶのだけ、許して?」
「――――……」
真剣な瞳に、射抜かれてるみたいで。
拒否、なんて、出来なかった。
正直、もう呼ばれ慣れてしまっていて。
そこまでの拒否感も、なかった。
「……わかった」
「ありがと。――――……入っていい? ちゃんと話したい」
「――――……」
頷いて。
仁が入れるように、先に中に入る。
仁はドアに鍵をかけて靴を脱ぐと、荷物をその場に置いた。
「……手、洗ってきなよ。……今、コーヒー……入れようとしてたから……」
「うん」
洗面所の電気をつけて、オレは、先にキッチンに戻った。
お湯は沸いていた。
豆を挽いて、ぺーバーフィルターにうつして、お湯を落としていく。
落ちていくコーヒーを見ながら、ただ瞬きを繰り返す。
これ、さっきの夢の続きじゃないよな?
……仁、だよな?
現実感が、全然ない。
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