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第47話「謎のランチタイム1」

 周りは家族連れで、楽しそう。  なのに、どーして、オレ達三人でご飯……。  ……寛人のせいだ。あとで絶対文句言ってやる……。  オレの隣に仁が座って、向かいに寛人が座る。  先に寛人が一人でど真ん中に座ったから、もう、こっち側に仁と二人並ぶしかなかった。  寛人に、二人並べて観察されているみたいな気がして、何だか落ち着かない。  注文してしまうと、メニューを見て時間を潰す事もできないので、思わず、ふぅと小さくため息。 「ドリンク取りにいこ」  仁が言うので、一緒に立ち上がる。 「いいよ。荷物見てるから先行って来いよ」  寛人が言うので、仁と二人で歩き出す。  なんか後ろから見られてる気がして振り返ると、寛人と目が合って、ふ、と笑われる。  ……ほんと、何なんだ、寛人。  「――――……仁て、寛人とちゃんと喋ったことある?」 「……無い。でも、仁て呼ばれてるけど」 「オレが呼ぶからじゃないかな。小学生ん時から、確かに呼んでた」 「そうなんだ……彰の友達と結構遊んでもらってたけど、片桐さんは記憶ないなー……」 「寛人あんまり公園には居なかったから。仁が遊びに来てたオレの教室とかで、会ってたと思うけど……」 「ふーん……それは覚えてないなー…… ん、ストロー」  ストローを渡されて、受け取りながら、仁を見上げる。 「……寛人と一緒で大丈夫だった?」 「別に。片桐さん自体はすごい人だと思うし」 「……そうなの?」 「二つ前の会長だからさ。いっこ上の会長からも話聞いたし。やってたことも色々すごかった」 「あ、そうなんだ」  あ、そうなんだ。別に、寛人の事、嫌いだったわけじゃないんだ。  良かった。ならいっか。 「――――……まあ、色々思うとこはあったけど」  ……ん? 今のなに?  仁をぱっと見ると、苦笑して、まーいいや、と歩き始めてしまう。  テーブルに戻ると寛人が立ち上がって飲み物を取りに行く。その隙に、隣に居る仁を見つめた。 「さっきの思うとこって……」 「いや。大丈夫だよ、大したことじゃないから」 「――――……」 「あと、彰、ちょっと近い」 「え」  ちょっと詰め寄ってたせいで、確かに距離が近い。 「あ、ごめん……」  少し離れて座り直す。 「謝んなくてもいいんだけど。 あんまり近いと、何か言われそうだし」 「――――……」  確かに言われそうだと思うのは、オレは今までの寛人とのやりとりがあるから。  ……そこいくと、仁は、何か言われそうなんて、どこから思うんだろ?  やっぱり寛人のこと、警戒してるっぽいのは、昔と変わらない気がする。 「……まだ片桐さんとよく会ってんの?」 「んー……たまに、会うかな」 「ふうん……ほんと仲いいんだね」  まあ。うん。  ……仲は、いいかな。  でも、ほんと、こんな意味不明なランチタイムを寄こしてくる、ほんとに、いまだによく分からない奴でもあるのだけど……。  意図が読めなくて、深いため息をついてしまいそうになる。  絶対何かを考えていることは、確かだし……。

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