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第121話「大好き」※

「――――……すげー、オレの、離したくなさそう」 「……っ……じん、嫌だ……」  恥ずかしい事、言わないでよ。  知らずに滲んだ涙目で仁を見上げると、仁が、ふ、と瞳を細める。 「かわいー、彰のここ……」 「……や……っ……」  一度少し抜かれて。また突き上げられる。  慣らされる時に嫌と言うほど触れられた、気持ちイイ所を擦られながら突かれると、その度に軽く達してしまう。 「ん、ふ……あ……っ」 「……何?……ここ突くと、イっちゃうの?」 「……っわかんない……かって、に……」  耐えられなくてきつく締めると、仁が少し顔を歪める。  それがやたらに色っぽくて――――……余計に、ゾクゾクする。 「……あっ……! ……ん、あ……ッ」  気持ちイイとこばかり責められて、小刻みに声が上がる。 「そこ、されると……オレ……待って、ちょ……やめ――――……」 「……無理」  短く言った仁に、奥を突かれて、喉が反った。 「……んっ、ぁ!……っん、ぅ……」  自分でも意図せず、少し上に逃れようとすると。 「逃げちゃダメだよ、彰……」  低くそう言った仁に、両脚をグイと持ち直され、開かされて焦る。 「待っ……」  静止は聞かれず、今までよりも少し激しく奥まで突かれた瞬間。  頭が真っ白になって。 「は……っ……ぁ……っ」  その数秒後、自分が達したのを認識した。  全然、前に触られてなかったのに。 「……っ……っ」  仁が、荒い息の中で、くす、と笑って。  ちゅ、と首筋にキスしてくる。  される事が全部、辛い程に気持ちよくて、ただ軽いキスなのに体が震える。 「……奥、気持ち、いい?」 「――――……っん……」  ……もう、よく、分かんない位、気持ちイイ。  小さく頷くと、仁がまた低く笑う。 「中、ビクビクしてる……すげえ、気持ちイイ……」  そんな風に、濡れたみたいな、普段聞かない声で。  仁が、耳元で囁いてくる。  それだけで、全身、痺れていくみたいで、どうしようもなくなってくる。 「……じ ん……」  仁にぎゅと抱きつくと。思っていたよりも、ずっと逞しくて。  何だか、たまらなくなって、きつく瞳を閉じた。  いつの間に、こんなに逞しく、なってたんだろう。  会った時は、大きな瞳の、可愛い顔の、小さな弟、だったのに。  ……可愛い、弟だった。 「……仁」 「ん……?」  呼ぶと、仁がふ、と顔を上げてオレを見つめた。  大好き。仁。  ……ごめん。  ほんとは今だってすごく迷う。ほんとに、いいのかって。  でも、もう……無理みたいで。  自分にも仁にも嘘ついて、離れてること、もう出来そうにない。  仁が嫌だって、言わない限り……そばに居てしまうと、思う。 「……大好き、仁……」  言った瞬間、涙が、目の横を伝って、流れ落ちた。  それを見ていた仁が、一瞬、固まって。  それから、めちゃくちゃ、苦笑いを浮かべた。 「……はーもう……何で泣くんだよ……」  仁が少し苦笑いして。 「っしょっと……」 「……ん……っ……」  抱えていたオレの脚を離して、オレの顔の近くに手をついて、体を押し上げてきた。  余計に深く押し込まれて。ぎゅ、と目をつむる。 「泣くなっつの……」  目尻に唇を当てて、涙をぺろ、と舐めとられる。 「……しょっぱい」  両方舐めとって、くす、と笑うと。  唇にキスされる。 「……泣かないでよ。もうこれからずっと一緒にいるから」 「――――……」  両頬を、仁の大きな手で挟まれて。  真正面から、じっと見つめられる。  凛とした、まっすぐ瞳に見惚れていると、それが、ふっとこの上なく優しく緩む。 「……っ……」  どれだけ、好きって思ってくれているか、嫌という程伝わってきて。  ……どれだけ長い間、それを拒否してきたかと思うと、胸が痛くなる。 「あ、また泣いてる……何で?」  クスクス笑った仁が、顔に触れてる指で、涙を拭う。 「あのさ、彰」 「…………」 「……大好きっていうのは、笑って言えよ」  そう言った仁が、ちゅ、と唇を重ねてくる。 「分かった?」 「……ん」  何度も角度を変えて深く絡んでくるキスに応えながら、頷く。  

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