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第124話「確認」

「……恥ずかしくて死ぬかと思った」 「はは」  湯船に浸かって、オレは縁にぐったりもたれかかった。 「……笑い事じゃないし」  ……中洗うって、あんなに大変なんだ……。  シャワーのお湯入れられて、指で……とか。 「ほんとは生でする前にも洗うみたい」 「……準備ってこと?」 「その方が良いみたいだけど」   「……何で知ってるの?」  湯船の端に背をついてる仁に視線を向けると。 「彰を好きになってから、調べたから」 「…………っ」  仁はクスクス笑いながら、続ける。 「ネットにあるような知識は、大体知ってるよ」  ……なんでオレ今聞いたんだろ。  なんでも何も、調べたからに決まってるじゃんか。  ますますぐったり。腕を組んで縁に置いて、その上に顔を押し付けて倒れ込んだ。 「……彰?」  仁がクスクス笑いながら、手を伸ばしてくる。 「こっちおいでよ」 「……ん?」  抱き寄せられて背中を仁に預ける。仁の脚の間に、体を挟まれる感じでお湯の中に浸かった。 「……っ」  これも恥ずかしいけど……。  さっきの洗われるのに比べたらもう、何でもいいやって気になってきた。   「……仁?」 「ん?」 「……なるべく、ゴムして?」 「ん、分かった」 「たまになら……いいけど」 「……いいんだ?」 「……うん」  後ろから、ちゅ、とキスされる。  ……あー。なんか。  …………なんか、ほんとに、オレ。  仁と……付き合ってくのか……。  嘘、みたい……。  ……あ、寛人に話さなきゃ。  亮也にも――――……やっぱり、言うべきだよな……明日会うし。  二人とも、なんて言うだろ……。  そんな風に思いながら、ぼんやりしていると。 「……彰」 「ん?」  顎を捕られて、後ろを向かされる。  唇が塞がれて。舌が絡む。 「……ん、ン……?」  急にめちゃくちゃ深いキスをされて、体勢が苦しくてどうしようかと思った瞬間。真正面から抱き込まれて、仁を見上げてのキスに変わった。 「……ん……っ……ふ……」  激しくて、唾液が絡んで流れてくるのを飲み込むと、こく、と喉が鳴る。  呼吸も、儘ならない。 「……っ……ん……」  口の中を思う様に愛撫されて、体が、熱くなる。 「……ふ、っ……は……ぁ」  やっと少し離されて、くらくらする感覚に、なんとか薄く瞳を開けると、仁はぎゅっと強く抱き締めてくる。 「オレのっていう確認」  笑み交じりで、仁が言う。 「……確かめかた…きつすぎるよ…」  上がった息の中で、苦笑いになってしまう。 「うん……ごめん」  言いながらまた重なってくる唇。  今度は、ひたすら優しい。舌も絡んでこないし、ちゅ、と触れて離れて、また、ちゅ、と触れる。 「…………仁……」  …………は。……ほんとに、もう…。  めちゃくちゃ愛されてるみたいな、優しいキス。  それはそれで――――……なんかもう、たまらなくなってくるし。 「じん」  首に腕を回して、ぎゅ、としがみついてみる。 「彰?」  クスクス笑われる。 「……オレも、確認」  言ったまま、しがみついていたら。  ふ、と笑った仁に、ぎゅっと抱き返されて、頭をめちゃくちゃ撫でられた。

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