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第41話
魔力と魔力
闇と光の結晶が衝突する。
グゴゴゴゴオォォオオーッ!!
衝撃波が渦を巻く。
まずい状態だ。二人を止めないと。闇と光の力が正面からぶつかれば、屋敷が吹き飛んでしまう。
「クッ」
踏み出そうとして拳を握り潰した。
Lv.1勇者の俺に、二人を止められる呪文がない。
「わっ」
光と闇が目の前で交錯して、ブワンと体が浮き上がった。
「后」
王様が手を伸ばす。
不意に吹き荒れた風が手と手を別った。
触れた指先の感触を残して擦れ違う。
風に煽られて体が飛ぶ。
(いけない)
風に自由を奪われる。このままじゃ……
ブオンッ
突然の強風に四肢を縛られた。ハッと目を見張った瞬間、目の前に壁が迫る。
激突する。受け身も取れない。
ぎゅっと目を瞑る。
「勇者様!」
「后!」
光が体を包んだ。
壁が割れる。
ガラガラゴロン
部屋の壁が崩壊したけれど、体……痛くない。
光に包まれた俺の体が、すとんと床に漂着した。
「全く……盛大に壊してくれましたね」
「風通しが良くなったじゃないか」
じゃあ、壁を壊したのは王様の魔力。
「后の身の安全を一番に優先した結果だよ。修理費用は国費で賄うよ。王国お抱えの一級建築士も派遣しよう。ついでだから僕と后の愛の巣にリフォームしてしまおうか」
「結構です。悪趣味なあなたの援助は受けません。勇者様をお守りするのであれば、私の結界だけで十分でしたのに。余計な事をしてくれましたね」
すると、結界で俺を守ってくれたのはオルフェ。
「とっととお帰り下さい。これ以上、不法侵入で滞在されては迷惑ですので」
「僕は国王だ。この国の愛と平和を守るのは、僕の務めだ」
「あなたが一番乱しています」
………
………
………
「えっ」
!!
「わわッ」
再び風が吹き荒れた。
「ちょっ。王様!幾ら真実がショックだからといって、魔力を暴走させないで下さい!本当に館が壊れます」
「なに言って!?后まで私がこの国の風紀を乱していると?……って、今は議論している場合じゃない。この暴風は魔力によるものだけど、僕じゃないよ」
ええっ!?
では、この風を巻き起こしているものは??
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