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第45話
ドオン!
体の芯を貫く震動に揺さぶられ、思わず膝をつきそうになった体を逞しい腕が支えてくれた。
「勇者様、大丈夫ですか」
「ありがとう」
オルフェの声に頷いたけれど。
「どうしたの」
俺を気遣ってくれたオルフェの様子がおかしい。
「大丈夫です。少し魔力が安定しないせいかと」
オルフェの瞳の色が紫煙のように揺れている。
「それよりも」
強い力が俺の体を更に引いた。
「お怪我はありませんね」
頭上から囀るように優しく労る声が、髪を撫でた。俺……抱きすくめられている。
「お気づきかと思いますが、この地震は自然のものではありません。魔力を感じます」
やっぱり。
レベル1勇者でも薄々感づいた力だ。途方もなく強い魔力に違いない。
魔力を帯びた菫の瞳が揺らめく。
「どうか落ち着いてお聞き下さい、勇者様。私達のいる館は……」
ゴゴゴゴオォオオー
唸る地響き。
「地底へ沈んでおります」
「そんな」
悪い予感が的中した。
否。
悪い予感が侵攻するのは、ここから。負の連鎖が始まる。
地底……
魔力……
「まさか」
脳裏をよぎった不吉な影を振り払うように頭を振った。
けれど。
憂いを帯びた菫の双眼は、淡い希望を打ち砕いた。
「私達が向かっているのは、地底魔城」
そう……
「あなたが倒した魔王様の居城です」
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