47 / 53
第47話
どれだけたったのだろう。
時間の流れが止まってしまったかのように静かだ。
(俺……)
突然の激しい揺れに襲われて、王様が消えた。
強大な魔力によって起こされた地震で館は沈み……
(そうだ)
ここは、地底魔城なのか?
魔王は倒した。
では一体誰がこんな事を?
(やっぱり、勇者を良く思ってない魔族の人がいるのかな)
悲しいけど、仕方ない。
魔王一派からしてみれば、俺は仇だ。
宰相オルフェーヴルと、六魔将中立派は、停戦し、人間との平和共存へ歩み出している。
館ごと地底に引き摺り込むなんて。宰相や六魔将に匹敵する、俺の知らない魔族がいるのか。
油断できない。
耳を澄まして様子をうかがうが、静謐のように静まり返っている。使用人はオルフェが避難させたのだろうか。
「オルフェ!」
オルフェの姿も見えない。
地底に引き摺り込まれる前に言っていた。
「鍵をかけて、閉じ込めろって……」
どうして?
でも、やらなきゃ。今はオルフェの言葉を信じよう。今まで、そうしてきたように。
オルフェから受け取った鍵を握りしめた。
この部屋にオルフェの姿は見えなくて。でも、心の中で謝る。
ごめんね、オルフェ……
(オルフェの言う通り、鍵をしめるよ)
部屋の外に出たら……そう、屋敷からは出ずに救助を待つんだった。
何が起こっているのか分からない以上、オルフェの言葉に従うしかない。
……カチャリ
ドアノブに手を掛けた、その時だった。
「どこへ行かれるのですか」
ともだちにシェアしよう!