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第11話

部屋に入った瞬間に櫂は日高の手を引く。乱雑にも壁に日高を追いやりキスをする。このまま手を離せば日高が帰る、というのは明白だった。 (そんな言葉聞きたくない。) 「まっ、て!かい…今日は、っ」 「うるさい」 日高のズボンに手を入れ、そのまま中心に触れる。その刺激に日高は、ん、っと声を漏らして身を捩った。 「だめだ、風呂も入ってないしっ!」 「じゃあ入ればいい。」 櫂は日高の手をまた強引に引き、風呂場に押し入れる。服も脱がせないままシャワーの蛇口を捻った。 「服がっ…」 「乾かせばいいよ。」 口を塞ぐようにキスを色んな角度からしていく。櫂は日高の欲情した顔をみて自分を昂らせながら、そっと考えていた。 服が濡れたら乾くまで帰ったりしないだろ、と。 日高が朝自分の顔を見せないように帰っていくことは櫂にもわかっていた。その理由がわからなかったが、最初は単純に早く帰りたいのかもとかセフレと朝を共にするのは嫌なのかもとか考えた。 でも今朝朝ご飯と共に添えられた、いらなかったら捨てての文字と。 そして一度日高、とサインが書かれた後に焦ったように名前がぐちゃぐちゃに消されていたこと。 その時思った。 日高は千隼として俺に抱かれているから、俺に気を遣って朝は姿を見せずに帰っていくのだと。 そう思ったら心臓が急激に締め付けられて目の前にいる日高にどうしようもない情欲をもつ。 「も…そこ。ダメだから…かいっ」 日高の胸に唇を這わせながら、日高の中心に優しく触れていく。その柔い刺激に日高は吐息が漏れる。 「もう、無理…俺もうっ」 「あぁ、俺も。」 日高の孔から前立腺を刺激する。それにより最初行為をしたときより随分と解されたそこはヒクヒク、と熟れている。櫂はその姿に興奮しながらも中に自分自身を挿れる。 あぁっ、といれた瞬間に漏れた日高の声に櫂は快感が更に上がった。 「んんっ!きもち、い…!櫂っ、」 バックで腰を振りながら櫂は獣みたいに日高の首筋に噛み付く。 日高に刻み込みたい、そういう欲をただぶつける。 「もうイクから櫂もっ…」 「ああっ。」 腰の動きが早くなり、そして日高の中に果てる。 果てる直前に櫂は日高の耳元で呟いた。 「好きだ」 と。 それが誰に対してかは誰にもわからなかった。

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