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第7話
「はっ!?ど、どーゆう、」
「紫音、《 Sh !》」
低く威圧的ではあるが、そんなに強くない語気に反論しようと思った言葉は口から出ることはなく俺は命令された通りに黙る。
「この世にはな、DomとSub以外にもSwitchってのが存在するんだよ。」
林田が俺に目線を合わせながら淡々とわかりやすく説明する。
「Switchは両方の性を持ってる。通常は同じタイミングで発現するらしいが、どちらか片方しか発現しない場合もあるし、成人後にもう片方が発現することもあるらしい。Switchなんてダイナミック性が3割ほどの人口の中でその2%いるかいないかの希少な性だから、詳しくはわからんが、お前はそのSwitchだよ。」
さっきまでの威圧感はなく、ゆっくりと話すから不思議と心の中にすっと入ってくる。
「何で俺がSwitchだってわかったんだ?俺ですら知らなかったのに。」
そう聞くと一瞬だけ睨まれたような気がして、ビクっと身体が跳ねる。
「俺はSランクのDomだからな。Sランクだと相手のフェロモンがわかるんだよ。初めてお前に会ったときからSwitchだってわかった。」
Sランク・・・・・・それこそDomの中でも僅かしか存在しないエリートじゃねえか。
「お前と会ったのは大学入りたてのときだったが、その時にはSubの欲求不満が現れ始めてた。それに気づいたが、お前はSubを馬鹿にする奴だったから様子見とくことにしたんだよ。案の定、どっちの欲求も解消できなくて最近は見るも無様だったがな。」
くくっと意地悪く笑う。
かと思えば真顔になり、少し目を細めじっと見据える。
ゾクッーーー・・・・・・。
また、この瞳だ。
この瞳で見られると全身がゾクゾクとする。
「ところで紫音。散々バカにしてきたSubにされた気分はどうだ?」
そんなのーーー・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・。」
「《 Say 》」
「・・・・・・いい、気分。お前に、命令・・・・・・されんの、悪くない・・・・・・かもしれない。」
こんなこと言いたくないのに、俺の意思とは反対に命令されると勝手に言葉が引き出される。
「《 goodboy 》」
ふわっと優しく笑いながら俺の頭をわしゃわしゃと撫でる。
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