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第14話

「・・・・・・ま、様、」 んー、誰だ? 「紫音様。おはようございます。朝ですよ。」 目を開けるとベッドの脇にいつもの黒ずくめのスーツに眼鏡をかけた執事顔の林田が立っていた。 「・・・・・・ッ!!」 「紫音様。今日は一応こちらもお飲み下さいませ。」 そう言って差し出されたのは薬? 「何だよ、これ。」 抑制剤?でも俺のとは違う。 「念の為です。こちらはSub用の抑制剤です。昨夜無理矢理、私がSwitchさせたので万が一です。」 まあたしかに俺は基本的には支配したい側だし、あんな思いはしたくない。 「わかった。」 俺はこればかりは素直に言うことを聞こうの林田に渡された薬とDom用の抑制剤を2錠飲んだ。 「・・・・・・ふふ。」 突然聞こえた笑い声にじろりとその声の主の方を見る。 「何だよ?言いたいことあるなら言え。」 「いつになく素直でとても可愛らしいなと思っただけです。」 ドクンっーーー・・・・・・。 「か、可愛くねえしっ!」 身体がほんの少しだけ熱い。 「すみません。出過ぎたマネしました。朝食の準備ができております。ダイニングでお待ちしておりますよ。」 ペコっと軽く会釈して部屋を出て行こうとする。 「紫音様?どうなさいましたか?」 思わず腕を引っ張り過ぎてしまい、自ら組み敷かれる体勢になってしまった。 「あっ、いや、何でもない。気にすんな。」 俺は一体何してんだよ!? こんなこと、するつもりなかったのに!! 「・・・・・・全く。もっと素直になればいいのに。ちゃんと薬を飲めて偉かったですね。」 にこりと笑い、いい子いい子と頭を撫でる。 それだけなのにすごく嬉しくて心地良い。 撫でられて嬉しいなんて、俺は今はSubじゃないのに。 「学校に遅れるといけませんからね。ダイニング行きますよ。」 俺の上から離れながら俺も起こす。 頭をポンと軽く撫でるとスタスタと部屋を出て行った。 今日はいつになく身体が軽くて気分がいい。 これってやっぱり昨日のPrayのおかげ、だよな。

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