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第41話

 陽の光が入ってきて、緋嶺は目が覚めた。  身体がだるい。けれど心はとてもスッキリしている。 「起きたか」  横から声がして見ると、鷹使が隣で肘をついて寝ていた。その顔は穏やかに笑っている。 「寝顔を見てんじゃねーよ……」  幸せそうに自分を見る鷹使を見て、緋嶺は照れくさくなった。照れ隠しにそう言うと、あまりにも可愛かったからつい、と恥ずかしげもなく言うので閉口してしまう。 「アンタ……初めて会った時とキャラ違くねぇ?」 「まあ、それは認める。サラとの約束もあったし、お前は何も知らなかったからな」  それでもいきなりキスをしたり、身体を触っていたので、やはり鷹使が緋嶺のことを、ずっと好きだったというのは本当だったらしい、と緋嶺は呆れてため息をついた。 「緋嶺……」 「なに……? ん……」  呼ばれて返事をすると、キスをされる。そして離れた鷹使の琥珀色の瞳に、緋嶺は見蕩れた。その目が細められた。 「そのうち、旅行にでも行こう。……新婚旅行だ」 「……アンタなぁ……」  緋嶺は熱くなった顔を背ける。しかし、そこで過ぎったのはセナと索冥のことだ。自分だけ楽しんで良いのか、と自分の心にブレーキをかけるように、思い出してしまう。  鷹使は緋嶺の髪を梳いた。 「……ここのところ食事の量も落ちてる。美味いもの食って、のんびりしよう」  それが、今お前にできるアイツらへの弔いだ、と鷹使は言う。 「ま、セナはほっといてよ、とか言いそうだし、索冥も……何だかんだ言ってツンツンしてそうだしな」  そう言って想像したら笑えてきた。鷹使も笑う。 「それにほら、お前は一人じゃないし、大野さんだっている」  だから元気出せ、とまた頭を撫でられて笑おうとして、失敗した。 「アイツら、本当に俺のせいじゃないって、思ってくれてるのかなぁ?」  溢れてきた涙を拭うと、緋嶺は鷹使に抱きつく。鷹使は当たり前だ、と抱き締め返してくれた。その温もりにまた泣けてきて、緋嶺は気が済むまで泣く。 「そうじゃなきゃ、緋嶺の味方になろうなんて思わない。力じゃない方法で、族長たちを仲間にしたのはたいしたものだ」  鷹使はとことん自分に甘いな、と緋嶺は思った。けれど緋嶺も単純で、その言葉に少しだけ救われた、とも思う。 「さあ、朝食にするぞ。メニューは……ステーキにするか?」 「朝から肉はいらない」  鷹使の冗談に、緋嶺は笑った。

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