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第41話
「じゃあ、どうすればいいんだよ。てか気持ちよくさせるのは店員であるドラちゃんじゃないか。客に下手とか気持ちよくないとか言って貶すなんてダメじゃないか!」
寧人 は興奮してつい口調が荒くなる。貶されすぎて理性が吹き飛んでしまったのである。
「それに君はナンバーワンとか言うけど……たしかにマッサージは吸い付くような掌で流れるような手捌きですっごいよかったけどっ、なんで僕を貶すの」
「ごめんね、ヨシくんっ……」
「……僕も言いすぎました……シャワー浴びるよ。もう時間だろ」
寧人はあっという間に時間が過ぎたことに驚くが今は疲れがどっと出てしまった。
だが寧人はドラゴンを前にしてアレを突き出す。
「まだマッサージ残ってるしな、それで終わりにしたい」
「もぉ、自分からっ……」
「いいから、時間ないから口でしてくれよ、僕は今すこぶる機嫌が悪い……」
「は、はい……ヨシくんっ」
ドラゴンは涙を浮かべて寧人のアレに今まで使ったオイルでなくて口に含んでも大丈夫なハニーローションを出してきた。だが寧人は拒んだ。
「このまま口でしてくれ」
「でも……」
「いいからっ」
「はい……」
ドラゴンはとうとう涙を流して寧人のアレをそのままねぶった。出会った頃はとてもスマートで男気のあったドラゴンが、完全に泣き虫なか弱い男になってしまっている。
厚い唇で吸い付く彼の行為に寧人は気持ちよく感じる。ドラゴンのアレも水着越しに大きくはちきれそうである。
「ドラちゃんのも見せてよ」
「……んんっ……」
と咥えたまま水着を自分で下ろす。短いが太くて大きい。
「自分で握って擦ってみて」
と寧人がリクエストするとその通りにドラゴンはする。それに寧人はびっくりする。
「よし、一緒にイクからなっ!」
「んんんんんっ!」
「ああああああっ!」
ドラゴンの口の中に寧人は精液を放出すると同時にドラゴンのアレからも精液が出た。
「うぶぅうううっ」
寧人はアレをさらにドラゴンの口にねじ込ませる。
「飲め、飲め」
「んんんんっ、んっ」
ゴクリと飲み込んだのをみた寧人はふぅ、とベッドから降りてシャワーを浴びに行った。
「なんかじぶんほんいになってしまったな……また下手くそとか言われるかも知れん」
とシャワー室で冷静になった同時にネガティブになる寧人。不安になり部屋に戻るとドラゴンはガウンを着ていた。ちょこんとベットに坐り微笑んでいた。
「ヨシくん……私をドMだってことがわかってあんなにドSになったのかな?」
「えっ?!」
寧人はそんなつもりはなかったのだが……。体が勝手に乱雑になりドラゴンにきつい言い方になったのだ。
「そうやって相手の弱いところを突いて、引き出す……まぁいいじゃない……最高よ、ヨシくん。また来て頂戴」
と同時にアラームが鳴った。終了時刻だ。寧人は肩の力が抜けた。
「……ドラちゃん、またくるから」
「うん、指名して。今度は違うプレイ楽しみましょう」
「おいおい、ここはマッサージ店だろ? また体をほぐしてね。次はお世話付きで頼む」
「うん、たくさんお世話してあげる」
寧人はドラゴンにキスをした。なごり惜しむかのように。何度も何度も。寧人は気に入ってしまった。
着替えて部屋から出ると、待合に古田が待っていた。あの部屋で激しく喘いでいた彼とは思えない佇まいであった。
「どうだった? ってめっちゃ声がしたけどドラちゃん満足させれたか」
「ん、まぁ……り……じゃなくて古田さんもすっごく可愛い声で……」
と寧人が続きを言おうとした途端に古田がギロッと睨みつけた。そして寧人のネクタイを掴んで引き寄せる。
「アレが僕の本当の喘ぎ方。演技じゃない……」
そして体を突き放した。
そこに一人の仮面を被った男がやってきた。さっきの受付の男でない。
「古田さん、お越しいただきありがとうございます。またお待ちしております」
「おう、今日の新人もいいじゃん。気持ちよかったし何度もイカせてくれた。あの子は芽が出る」
「ありがとうございます……そう伝えておきますね」
と、その仮面の男は寧人を見る。寧人はなんか違和感を覚える。
「ご新規さま……鳩森 様、でしたよね?」
「あ、はい。こう言うものです」
と名刺を渡すと仮面の男はニコッと笑った。仮面の男も名刺を渡す。
「わたくし、ここのオーナーであります……ヨリトモです」
「ヨリトモさん……」
「ベクトルユーさんの退勤システムは先代の社長の時からも大活躍でして。こういうお店ってかなりブラックですけどあのシステムのおかげで明確化されましてね、スタッフの満足度も上がり離職率も減ったんですよ……古田さんと出会わなければこんないいことは起きなかった、と先代も申しております」
「はぁ、僕は担当SEではなかったのですが他の会社でも使われているようですし、我が社でも使ってるので……また不具合やご希望があったら……」
と寧人はなぜか饒舌にセールストークをしていた。そんな彼に古田は小突く。
「なにビジネストークしてんだよ、まぁ上手くなったな。あとはこっちの方もうまくならないとな。会員登録してもらったから好きな時に行け」
と古田からカードを渡された。バタフライスカイという名の入った黒いカードを。寧人は自分の口からセールストークが出たのに驚いている。
「ぼ、ぼく……どうしちゃったんだろう」
と戸惑いながら店を後にする。
仮面の男が受付の男と話す。
「なんですか、ヨリトモって」
「……いやとっさに出た。ああやって読めるでしょ、あの漢字」
「まぁそうなんですけど、なんで嘘を」
「……いや、ちょっとね」
「頼知 オーナーも変わってますね」
「そうかな? 兄貴よりかはマシだよ」
仮面の男、頼知は微笑んだ。
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