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第54話

 いい匂いで目を覚ました寧人(よしと)。はじめに見えた時計はお昼前を指していた。 「あわわっ! 撮影!! ズボン……あれ、着替えさせられてる」  真新しいパンツとズボンに着替えさせられていた。そこには一護(いちご)がエプロンをつけて麻婆丼を作って待っていたのだ。  カメラも置いてあり、撮影中とのこと。ちなみに撮影したデータは転送して会社のスタッフが編集する仕組みである。 「大丈夫、昇天しちゃったところは録画してないから」  コソッという一護。 「それよりも食べて! 麻婆丼」 「ああああーっ、食べたかった! この麻婆丼」  喜びのあまりカメラが回ってるのにもかかわらずニコニコしながら食べる寧人に、一護はカメラを指差した。 「僕たちは半年前、それよりも前かな……その時に出会ってー。ルームシェアを始めたのよね」  とカメラの前で話し始めた。テレビ用の解説であろう。あくまでもルームシェア、ということを強調した。 「あー、あの頃は……腐りきってた。ひきこもりをずっと続けてて人の目さえ見ることもできなかった」  寧人はつい半月前のことがつい最近のように思えてきた。 「僕がサイクリングが趣味でフードジャンゴの出前の配達してた時に偶然に寧人の家に麻婆丼を配達したのが始まりだったね」 「配達員たくさんいるのに、偶然ってすごいよな。二回連続、一護だったもん」 「偶然って不思議よね。でも初めて寧人と会った時になんかビビってきてさ……」  寧人はカメラをチラッと見て小声で一護にそんな話をしていいのか聞くと 「なんとかしてやらないとなって、僕のお節介心がでちゃってねー」 「そうなんだ……てかさ、この企画は一護が主役なんだから僕のことは別にいいよ。君の紹介とか話とかしなきゃ」 すると一護は笑った。 「あったりまえじゃん。もう事前に僕の紹介VTRは作ってあるし、ここでの会話もカットされるかもしれないから」 「なんだとぉっ、ごほごほっ……と、豆腐がぁ喉にぃ!」 「寧人っ、大丈夫?」 「ごほごほっ!」 「これだから寧人はーっ」  だがここのシーンもミーチューブのみカットなしで全世界に配信された。  腹ごしらえも済ませ、ビデオの回ってないところで寧人は一護と激しいキスをした。 「一護ぉ、もう我慢できないっ」 「僕もだけど……もうでなきゃ」 「一護、フェラして……」  一護は首を横に振る。 「この元気さを今からのサイクリングで発揮しないとー。ちょっとモッコリが映らないように撮影しないとね」  と一護は軽く寧人のアレをタッチした。ハヒィと声を出して寧人はタジタジになり外へ出た。  

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