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ep.1 シェアハウスの住人と歓迎会

入学式本番。 校長先生の話など、特に何の面白みを感じることもないまま退屈な時間は流れて行く。 そして歓迎の言葉を送るため生徒会を代表して、舞台に生徒会長が現れた。 そこでどんな奴なのかとようやく興味が湧き、舞台の方へと目をやる。 「皆さん初めまして。生徒会で会長を務めさせてもらっている、霧宮(きりみや) (れん)と申します」 マイクを通して体育館に響き渡る心地よい低音。 一番前に座っている僕は、その姿に思わず見惚れてしまっていた。周りの奴もきっと同じだろう。 「入学式当日ということで緊張しているかも知れませんが、不安なことや心配なことがあれば、僕たち生徒会や先輩方を頼ってください」 大勢の前でも堂々としたスピーチは、誰が見ても凛々しいと心奪われるに違いない。 「これだけ大勢の新入生を迎えられて僕たちも嬉しいです。皆さんが充実した高校生活を送れるよう、全力でサポートして行きたいと思っています。以上です」 そして無事にスピーチを終え、一礼をした後に舞台から生徒会長が降りて行く。 と、同時に割れんばかりの拍手が巻き起こった。 その後のプログラムも順調に進み、ようやく長い退屈な式は終わりを迎えた。 終始僕の頭を占めているのは、会長である霧宮 蓮という存在だけだった。

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