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第1話
(生徒会か…それに霧宮蓮さん、かっこよかったな)
式後各々は自分のクラスへ戻り、今は担任が来るのを待っている時間だ。
頬杖を付き、むさ苦しくて騒がしい教室から目を逸らし、窓の外へと目をやりながら物思いに耽 る。
何となく暇つぶしに鞄からスマートフォンを取り出すと、画面にLimeの通知が表示されていた。
相手は母さんの弟にあたる人。
内容は、"少し君の事について話がある。暇になったら電話してきて欲しい"とのことだ。
どうせ母さんのことだろうと、小さく溜息を吐いてから"了解です"と返した。
それから電源を切り、鞄に戻したタイミングで皆が慌てて自分の席へと戻って行く。
担任が来たのだ。
「お、皆ちゃんと座ってて偉いな」
ガラガラと扉を開けて入って来た担任は、見るからに若そうな、そしてどこか頼りなさげな雰囲気だった。
そして皆途端に先生を見るなりガヤガヤと騒ぎ出した。
「はい静かに。今日からお前らの担任になる、水野 涼介 だ」
言いながら水野先生は黒板に字を書き始める。
現代文担当らしく、字も綺麗だった。
それにしても何か涼しい名前。
「なぁ、涼ちゃんって彼女いんの〜?」
「俺も気になる〜」
男子高生らしい質問に皆が笑っている。でも僕の口角は下がったままだ。
「残念だけどいません。はい、それはさておき皆直ぐ帰りたいだろうし手短に明日の事話すぞ」
先生の答えにあちこちから声が上がるが、全部スルーで話を進めて行く。
「明日はミーティングやら対面式やらがあるから服装ちゃんと整えること。以上。これから1年間よろしくな」
「ウケる、ほんとに手短」
1人が突っ込んで笑いが巻き起こる。さっき真っ先に先生に質問した奴だ。
その後解散となり、教壇に立つ水野先生を皆が取り囲んで質問責めにする中、僕は足早に教室を出た。
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