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第3話
あれから叔父さんは、電話を切ってから約1時間後に学校近くまで僕を迎えに来た。
「久し振り、臣。遅くなってすまないね。」
「久し振り、叔父さん。大丈夫、わざわざありがとう」
「しかし随分と大きくなったな。顔立ちは姉さんそっくりだ」
僕は叔父さんの外車の助手席に乗り込み、叔父さんはシートベルトを確認してから車を発進させる。
「そうかな?」
「あぁ、特に目元がな」
僕は自分がこんな見た目である事に劣等感を感じていたから、少し複雑な気分だった。
それが母さん譲りだという事も相俟って。
「…そういえば昼飯は食ったか?」
俯いた僕を気遣ってか、叔父さんは話題を変えてくれた。
それにしても運転しているから、正面を向いていた筈なのにな。
「あ、まだ食べてない」
「そうか、何か食べてからのがいいだろ。何がいい?」
「僕コンビニのでいいよ」
「…遠慮はしなくていいんだぞ?」
「ううん、コンビニのがいいから」
「分かった。」
※※※
「それだけでお腹空かないか?」
「大丈夫だよ、ちょうどいい」
叔父さんは缶コーヒー、僕は卵やハムチーズ等3種類あるサンドイッチと紅茶を選んだ。
揺れる車内で僕はサンドイッチを齧り、暫く沈黙が続く。
叔父さんが愛用している爽やかな香水と、僅かな紫煙の残り香はとても落ち着く。
「あぁ、もう暫くかかるから。寝てくれても構わないよ」
「…うん」
サンドイッチを食べ終わってお腹も満たされた僕は、快適な叔父さんの運転で睡魔に襲われ始めていた。
叔父さんの言葉はそれを察しての事だった。
ぼんやりと顔を窓の外に向け、一瞬にして過ぎ去って行く風景を眺める。次第にそれを追う瞼も重くなっていって。
そしてそれから程なくして、僕は眠りについた。
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