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第5話
「やぁ、遅れてすまないね」
たどり着いたのは、予想以上に広いリビング。叔父さんはソファに腰を掛けていた青年に声をかけた。
「孝太郎さん、待ちかねたよ。その子が例の?」
そう言って眩しいくらいの王子様オーラを放つ高身長のイケメンが近付いて来た。
僕は咄嗟に叔父さんの後ろに隠れる。
「そうだよ、少し人見知りでね。ほら、挨拶しなさい」
負けてないくらい格好良い叔父さんに促されて、僕は妙な緊張感でパサパサの乾いた唇を開く。
「か、笠間 臣 …です。今日からお世話になります…」
「よろしくね、臣君。僕は水瀬 伽耶 だよ。事情は孝太郎さんから聞いてます」
そう言ってにっこりと百合のように咲かせた笑みが、とにかく僕の目には眩しく映った。
「いきなりで申し訳ないね。臣を頼んだよ」
「全然大丈夫だよ、部屋は余ってるし。臣君のことは安心して任せて」
「助かるよ。じゃあ私はそろそろ行くからね」
「え、叔父さんもう行っちゃうの?」
「これから仕事に戻らないと行けないからね。姉さんのことも気にしなくていい」
「……わかった」
僕の後ろで水瀬さんは"そうじゃないんだよな…"と呟いていた。
「よし、じゃあな臣。困ったことがあればいつでも頼るんだぞ」
「うん、ありがとう叔父さん」
玄関まで水瀬さんと一緒に見送り、叔父さんは去り際に僕の頭を撫でてから門への道が続く中庭に消えて行った。
残された僕は隣の水瀬さんを見上げる。
すると視線に気付いた水瀬さんと目が合い微笑まれ、僕は咄嗟に目を伏せて頬に熱が集まるのを感じた。
今日からここで、水瀬さんとまだ知らない住人との共同生活が始まる。
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