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第11話
学校の近くでは目立つからと、学校の最寄り駅前に降ろされて登校する道中。
「ちょ…こんな所で、っ」
「良いじゃん、誰も見てないんだし」
どこからか聞こえてくる微かな男性同士の会話。
そこは通行人の死角となる裏道で、僕と同じ制服を着た2人組が何やら抱き合ったりキスをしてイチャつき合っていた。
(朝からこんなとこで…あれは本当だったんだ)
以前より耳にしていた噂がこんな形で真実になろうとは思わず、戸惑い半分不安半分といった心情の僕。
とりあえず何も見ていなかったことにして、足早に学校の正門を目指す。
そして門を抜け、しばらく歩いた先の玄関で上履きに履き替えている時だった。
「あ、ねぇ君」
突然背後から聞こえてきた声に振り返ると、間違いでなく確かにこちらを見ている生徒がいた。
「え?あ、僕?」
「そ、君。確か俺と同じクラスだったよな?一緒に行かね?」
「うん、いいよ」
僕の記憶が間違いでなければ、昨日隣の席に座っていた彼だと思う。
特に断る理由も無かったから、僕は頷いて4階の自分のクラスまで彼と一緒に行くことにした。
名前は藤宮 真咲 というらしい。
中学時代の友人が1人もこの学校に居らず、隣の席である僕に話しかけたという。
真咲君は明るい性格で優しく、何となく友達が多いんだろうなとの印象を受けた。
新しい学校生活で初めての友達。僕は純粋に嬉しいだなんて思っていた。
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