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アス第2話
そんな中ついたあだ名が「腹黒王子ちゃん」。
ちゃんってなんだよ。
全く嬉しくないが俺の見た目はかわいいらしい。小柄で百六十センチほどしかない身長に、細身の体。そこそこ整った顔は、男女問わず庇護欲をそそるんだと。女子には、
「白タイツ履かせたい!」って言われた。
なんじゃそりゃ。
まあ、あれだよ。キラキラした王子様じゃなくって、ショタっ子王子だとよ。
だから王子ちゃん。アホか。
しかし性格的には全く可愛くない自覚があるし、小さい頃から空手をやっていたんでそこそこ強くもある。
見た目に騙されてちょっかいをかけてきたり、バカにしてきたヤツらを知識と話術、最終手段の腕力(はあまりないが空手の技)でことごとく返り討ちにしてやったらそんなあだ名が付いた。
相手を追い詰める策が容赦ないから腹黒らしい。俺程度で腹黒とかw
キョウが聞いたら鼻で笑うぞ。
完璧王子なんて呼ばれているキョウは王子って言うより魔王だけどな。
俺が昔キョウと連んでたのを覚えてたヤツら(主に女子)が、俺のあだ名をキョウの完璧王子と同系列にしたかったらしく、俺の小っ恥ずかしい通り名、腹黒王子ちゃんが誕生したんだよ。
もうバカバカしすぎて、俺もどうでもいいから反論もせずキョウと同じくスルー。
おかげさまで、高校に入って数ヶ月たつ頃にはそこそこ名前と顔が売れ、一目置かれるようになった。
内緒だけど、この前初めて告白もされたんだぜ!かわいい子だったけど、そんな気になれなかったから丁重にお断りして、今は普通に友達として接してる。
そして、その間のキョウはと言うと…
俺と遊ばなくなってから、急にチャラくなった。
何かいっつも女子を侍らせてるんだよ。
たまに男子も居たな。女子と居ても見劣りしないようなかわいいヤツ。
特定の恋人は作ってないみたいだけど。
他の男子とも仲が悪いわけではなく、今も崇拝されてる感じ。
中学生になってからは、完全に無視されてたな。俺が何したって言うんだよ!意味不だわー。ムカつくからこっちもガン無視。
高校はな、家の近くにあるそこそこの進学校に通ってる。俺、朝起きるの苦手なんだよ。だから徒歩10分ほどで行ける高校に偏差値が届けばそこにするだろ?
何故かキョウもそこに居たけど。あいつの頭なら、もっと偏差値の高い高校に行けただろうに。
中学の頃は一言も喋ってねぇし、もちろん理由も知らね。
そんでさ、最近は目が合うとニコッって微笑んだりしやがる。なんなんだよ!ガン無視してたんじゃねぇのかよ!
それを見た女子が騒いでいるが、ムカつくからもちろんスルーだ。
それなのに…
で、冒頭の本棚ドンに戻る。
「ん~、アス最近告白されたでしょ?」
「なっ、何でそれ知ってんだよ!」
「あの子、オレの周りに居る女子の妹なんだ~前からアスのこと好きみたいだったからさ、お姉ちゃんに見張らせて色々報告してもらってたんだよ。」
「なっ何で?俺のことなんか何も興味ねぇくせに!」
「いや、興味はあるよ?」
何だよこいつ。顎クイすんなっ!
「だってアスがオレ以外のものになるとか許せないじゃん。」
「はぁぁ??お前散々俺のこと無視しといて何言ってんだよ?おかしいだろ!」
「うん、あれはね、あのままだとアスを襲っちゃいそうだったからね。一旦離れた方がいいと思って。流石に小四で処女奪われるのは可哀想じゃない。」
「あの頃さ、オレ、アスの夢見て精通したんだ。もうそれ以降アスのことそういう欲情した目でしか見れなくなってね。襲っちゃう前に離れたの。ごめんね。寂しかったでしょ。」
はいぃぃ?待て待て待て、情報量が多いしすげぇこと言われてないか?
「でね、どうせなら上手にアスを抱きたいじゃない?だから中学時代は寄ってくる子相手に練習してみたんだけどね、何か全然楽しくなくてさ~それなりに気持ちは良いけどそれだけ。」
「けど納得いくまでテクニックは磨いたから安心して?」
「アスの身体に負担がかからないように成長するの待ってたけど、アスなかなか大きくならないし。そしたら告白とかされちゃってるしさ。もう待てないな~って。」
「なかなか成長しなくて悪かったな!」
ってそんなこと言ってる場合じゃねぇよ俺。
どうすんだよ。
誰か助けて!マイ マザー!!
・・・ダメだ。あの人に助けを求めてもキラキラした目で
「キョウくんウチの子をよろしく!」
て差し出されるだけだ。
「アス?」
いや、現実逃避してる場合じゃねぇ。
その無駄に整った顔を近づけるな!
だから顎クイ止めろ!
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