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アス第6話
「んふっ!耳元で喋るなよっ!とにかく俺はキョウをすぐには許さないし、受け入れもしない!」
「ぷはっ!ちょっとアス笑わせないで!すぐには・・って、後々受け入れてくれる気満々じゃない。」
爆笑するキョウ・・・
良かった。魔王モード解除だ。
うん、これ多分希少価値って概念を超越してるな?確実に金儲け出来るレベルだわ。
って、そんなこと言ってる場合じゃねぇ。俺間違えた?何で後には許す的な発言してんの?
「いや、そういうわけじゃねぇよ!おまっ、キョウが自信過剰すぎなだけだろ?俺は許す気ないからなっ!」
「はい、はい、分かったよ。アスは全然変わってないね・・・これは長年我慢したオレへのご褒美か・・?腹黒王子ちゃんって言うよりツンデレ王子ちゃんだろ・・・アスがかわいすぎる・・」
キョウが何かブツブツ言っているが、最後の方は聞き取れねぇ。
まぁいい。
「俺は絶対キョウを許さないからな!!」
ビシッと言ってやったのに、キョウは
「うん、まぁがんばってね?オレも全力で口説くから。」
と言って、軽く触れるだけのキスをしてきた・・・
くそっ!こんなキッ、キスくらいでとっ、ときめいたりなんかしてないからな!!
「じゃあそろそろ帰ろうか?アスママご飯作って待ってるんじゃない?」
「えっ?今何時だよ?外暗いじゃん!」
「六時半くらい。そろそろ見回りの先生が来そうだしね。」
「ヤバイじゃねぇか!俺帰るぞ。」
「うん、もちろんオレも帰るから。一緒にね。」
「いや、俺一人で帰るし。」
「家が近いんだからどうせ一緒になるし、諦めたら?」
「ぐっ、そうだけど・・・俺はおまっ、キョウを許してないんだから一緒には帰らねぇんだよ!」
そう言って俺は、キョウが持って来てくれたのか近くに置いてあった自分のカバンを掴むと、図書室の鍵を開けて廊下に出、階段を駆け下り校舎の外に出た。
外はもうすっかり闇に染まっている。
うぅ・・階段を走って下りたら乳首が擦れて痛い・・・プールの授業が終わった後で本当に良かった。これ絶対しばらく腫れてるだろ・・・
けどまぁあれだ、きっ、気持ち良かったよな・・今は痛いだけだけど、舐められながらチンコ扱かれた時はヤバかった・・・
いやいや、けど相手は男だぞ?いいのか?
う~ん、他の男にあれをされると思ったら鳥肌立つし、心底無理。吐く。想像だけで軽く死ねるし、相手を殺せる。
絶対どうにかして逃げたと思うんだよ。俺、それなりに空手で対処出来るし。最悪でも股間蹴るか、玉握りつぶしたら逃げきれただろう。
何で逃げなかったんだ?
やっぱりキョウだからか?
そんなことをツラツラ考えながら校門の方に歩いていると、
後ろからそっと抱きしめられた。
「ア~ス、はぁ、何考えてるの?」
「うわっ!キョウ、鍵返しに職員室行ったんじゃなかったのかよ?」
「ふぅ、行ったよ。で、急いでアスに追いつこうと思って走って来た。」
そういえば少し息が荒いな。
「で?何考えてたわけ?」
「何にも考えてねぇよ!」
「うそ、あんな事したとこなのに?オレのこと考えてたんでしょ?」
「おまっ、いや、キョウのことなんて考えてねぇよ!あ~今日の晩飯は何かな~?」
「アスママのご飯美味しいもんね。あ~オレも久しぶりにアスママ飯食べたいなぁ。そうだ!帰りにちょっとあいさつしていっていい?」
「はぁ?!おかしいだろ?何でそうなるんだよ?そんなことよく言えるな?
お前俺に何したと思ってんだよ?それでよく親の顔見れるな?」
「こら、またお前って言ったね。まぁ今はいいや。
オレ、悪いことしたと思ってないから。
今までほっといた分、これからはアスを大事にしたいから親にあいさつするのは当然でしょ?ほら早く帰るよ。」
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