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アス第7話

 そして、俺が住むマンションのドアの前にキョウと二人・・・ 何でこうなった!?何この状況? 「懐かしいな~このドア開けたらすぐ左側にアスの部屋。もちろん変わってないよね?」 「当たり前だろ!ウチ2LDKなんだから余分な部屋はねぇよ。」 「またお邪魔させてね。アスの部屋に。」 「アホか?俺は許してねぇんだからな!部屋に入れるわけねぇだろうが!」 「あ~楽しみだなぁ。アスの部屋、さすがに小学生の時とは変わってるよね?どんな感じになってるのかなぁ。」 「人の話を聞けよ!!」 「アスが鍵開けないんならオレがインターフォン押すよ。」 「はぁっ?ちょっとまてコラ!!」 ピーンポーン 「はい?」 うわっ、こいつマジで押しやがった。 「こんばんは。ご無沙汰してます。キョウです。」 「えっ?えっ?キョウくん?ちょ、ちょっと待ってね!」 パタパタとドアの向こうから母さんの忙しない足音が聞こえ、カチャっと解錠された音とともにドアが開く。 「うわぁ!ほんとにキョウくんじゃない!どうしたの?うぐっ!この一年でさらに凄みを増したわねその顔と色気・・・生キョウヤバイ・・・ あっ、アスラはまだ帰って来てないんだけど・・・」 「・・・俺居るんだけど。何言ってんの母さん。」 「あら、アスラお帰り!キョウくんの影で見えなかったわ。あんた達仲直りしたの?良かったじゃない。」 「チビで悪かったな!って、良くねぇよ!俺六年もずっと無視されてたんだぜ?そんな軽く仲直りとか出来ねーから!」 「あらあら、まぁ、アスラはずっと寂しがってたもんね。」 「そんなの最初だけだっつーの。」 「で、キョウくん、これはもう待たないってことなのかな?あたしはまだアスラには早いと思ってる。」 「でも、あなたがずっとアスラを思ったまま待ち続けてることも分かってるから、反対はしないけど・・・ くれぐれも無茶はしないでね。この子の気持ちももう無視しないであげてね。」 「あのね、恋は一人でも出来るけど、愛は二人で育てなきゃね?」 ちょっ、ちょっと待ってよマイ マザー!! 何言ってんの?何で全部知ってんの? そして、最後のセリフ恥ずかしくないのっ??! 「もちろんです。今まですみませんでした。」 深々と頭を下げるキョウ。 何なの?俺を置いて話が勝手に進んでんだけど! てか、おい、玄関先でする話じゃないだろ? 「・・・キョウくん上がってご飯食べて行く?」 「いえ、今日はあいさつだけと思って寄らせてもらったので。また次にいただいてもいいですか?」 「いいわよ~じゃあまたメッセージアプリで連絡するわ!」 ん?今何と? 「はい、オレも送ります。今日は突然すみませんでした。失礼します。」  そう言ってキョウは帰って行った。 「ちょっと待って?母さん、キョウと連絡とってたの??!」 「はいはい、ご飯食べながらゆっくり話しましょ。アスラは早く手洗いうがいをして、服着替えなさい。」  ぐうっ、正論だ。 とりあえず俺は帰宅後のルーチンをこなし、食卓についた。  今日の晩飯は・・ひゃっふぅ! そうだ、昨日がキーマカレーだったから、今日はキーマカレーオムライスだ! それにサラダと、玉ねぎとキャベツがいっぱい入ったコンソメスープ。  俺は、母さんが作るキーマカレーが大好物だ。 そんな本格的なものじゃなくて、単に合い挽きミンチと微塵切りにした玉ねぎ、人参、マッシュルーム、ピーマンを塩胡椒とコンソメで炒めて赤ワインをぶっかけ、市販のカレールーとケチャップやらソースやら醤油を加えて汁気が飛ぶまで炒めただけの簡単な家庭料理だ。  俺の大好物だからと、母さんはいつもキーマカレーを大量に作り、次の日にはこれまた大好物のオムライスにしてくれる。 キーマカレーとともに炒められたご飯を、ふわとろ卵でくるっと包み、上からさらにキーマカレーをたっぷり乗せて食べる。 大好物×大好物! そりゃ、美味いさ!! 「いただきま~す。・・うっまぁっ!」 もぐもぐもぐ・・・って、キーマカレーオムライスを堪能してる場合じゃねぇ! 「ちょっと母さん、なんでキョウと連絡とかとってんの?」 「やだ、別に大した事じゃないわよ。 本名登録のSNSに秋月 暁弥ってあったからね。投稿もしてないし、友達申請もあんまり受け付けてないみたいなんだけど、どうもキョウくんらしいから思い切ってメッセージ送ってみたの。」  はぁ?息子がガン無視されてる相手にか? 「そしたらやっぱりキョウくんでね。返信で家に来なくなったことと今のアスラとの関係をあやまってくれて・・ 家に来てた最後の方も辛そうだったし、アスラのことが嫌いになったわけじゃないのはあたしも分かってたからね。」 「・・・で、ど、どこまでその、キョウが俺を・・とか知って・・・」 「やっだ、そもそも第二次性徴期の真っ只中なキョウくんのあからさまな態度は分かりやすかったじゃない。 あんたは子どもすぎて気付いてなかったんでしょうけど。キョウくんは無視してるって言っても、時々痛々しい表情でこっそりアスラを見てたし、ずっとアスラのことが好きなのも分かりすぎるくらい分かってたわよ。」 「だから、メッセージのやりとりをした後に、偶然見かけたキョウくんを引き止めて話をしたの。一年くらい前だったかな?で、まぁだいたい予想通りだったし、無理強いはして欲しくないけど仲直りはして欲しいって言っておいたの。」 ・・・さいですか・・

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