26 / 46

アス第18話

   目が覚めるとみそ汁の匂い。 んっ?家じゃない?えっ?えっ? ここって・・・キョウの家だ!! いつもは寝起きが悪い俺だが、昨日の事を思い出して飛び起きた。 えーっと、キョウと風呂に入ったことまでは覚えてる。 おっ、俺が口でして・・・キョウのを飲んでから・・・って、うわぁっ!!俺すげぇ事してねぇ?? ヤバいヤバい、恥ずか死ぬ。 ・・・んで、俺が寝そうになったからキョウが体を洗ってくれて、シャンプーまでしてくれたんだ。 それが気持ち良くて眠気が加速。 浴槽で後ろから抱きしめられてた気がするけど、それも小っ恥ずかしい!! うわ~うわ~!てか、その前に俺、処女喪失してんじゃん! ベッドの上でのたうち回る俺。 「何暴れてんの?」 キョウの声がするが顔を上げられない。 「おはようアス。そのままベッドに居たら襲うよ?お腹空いたでしょ?みそ汁作ったから昨日買ってきたおにぎり食べようよ。」 ・・・そう言えば腹がぺこぺこだ。昨日帰って来てからも食べれる状況じゃなかったしな。 「いらないなら、オレがアスを食べちゃうよ?」 「何だよそのオヤジ臭い言い方。腹減ってるし食う。」 のそのそと起き上がる。 んっ?これキョウのTシャツ?!彼シャツってヤツじゃん! 下は・・俺サイズの新品のパンツ?? 「なぁ、これキョウが着せてくれたのか?・・・パンツ買ったの?」 「ふふっ、いいね。オレのTシャツ着てるアス。欲情するよ。パンツは前もって買っておいた。」 そう言って俺を抱きしめ、キスをしようとするキョウ。 買っておいたって・・・用意周到ってかヤル気満々じゃん! 「アホ!朝から盛んな!!俺マジで腹ペコだから飯食わせろ。」 「残念。」  リビングに移動する。 ダイニングテーブルの上には昨日買ったおにぎりやサンドイッチ、ゆで卵、サラダなどとともに、キョウが作った豆腐とわかめのみそ汁がある。ネギが多めに乗っているのが嬉しい。 「うわぁ!いただきま~す!」 「みそ汁うまぁ!!」 おにぎりにもかぶりつく。中にから揚げが入ってるやつだ。 あ~俺マジで腹減りまくってるわ。 おにぎりをもう一つ食べ、みそ汁を飲み干す。 ちょっと落ち着いたのでゆで卵を剥いていると、キョウがみそ汁のおかわりをよそってくれた。 「さんきゅ。キョウのみそ汁美味いな!」 「汁物作るのと米を炊くのはオレの担当だからね。後は親父がなんか貰って来るし。」 「貰って来る??」 「あぁ、近所の肉屋と惣菜屋の奥様が毎日残り物を親父にくれるの。しかも毎日違うメニューで統一感もあるようにして。」 「ぶはっ!流石ジュンさん!!すげぇな。」 「天性の人たらしだからな。」 そう言いながらキョウはサンドイッチを食べている。 みそ汁と合うかそれ?  食べ終わってゴミを捨て、みそ汁のお椀と箸を流しに持って行く。 「俺、せめてこれ洗うわ。」 「そう?ありがとう。じゃあ親父のCD探して来るよ。」 忘れてた!ジュンさんのバンド!!  俺が洗い物を終え、歯磨きをしていると、リビングのスピーカーから激しい音が流れてきた。 「これが今もやってるMAGってバンドの初期ね。」 普段よく耳にする音楽より激しく攻撃的な音。爆音のギターノイズとともに、ボーカルが入る。 あぁ、ジュンさんの声だ。 いつもより低く迫力がある声で、迫り来るように歌っている。綺麗というより一度聞いたら忘れられない独特な艶のある歌声。クセになりそう。  その後も何枚もCDを聞かせてもらった。 中期の比較的ゆっくりした低音が効いたレゲエっぽい曲(ダブって言うらしい)や、ラップの歌詞があるヒップ ホップっぽい曲、最近のジュンさんのプログラミングとバンドの生音をミックスさせたエレクトロな曲などなど、いろんなジャンルの音楽が上手くミックスされていて凄くカッコ良かった。 上手く言えないけど、例えばヒップホップっぽいって言ってもそのまんまのリズムじゃなく、ギターの爆音が鳴り響くMAG独自の高速グルーヴにヒップホップが融合してる感じ? すべてがMAGと言う音だった。 ジャンルとしては、ハードコアパンク寄りのオルタナティブロックになるらしい。 「うわぁ、これ生で見たらめちゃくちゃカッコいいだろうなぁ!CDでも歌声に惹かれるのに、ジュンさんが目の前で歌ってたらヤバいかも。」 「・・・アス、MAGのライブは行くの禁止ね。」 「何でだよ?!」 「アスが親父に惚れたら嫌だから。」 アホか?!

ともだちにシェアしよう!