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第2話
昨日は夜遅くにヒロ君が帰って行った。
同じ会社で働いているので、最近はよくお昼を一緒に食べている。
今日もお昼に合流して、近くのカフェに入った。
「昨日寝るのが遅かったから眠たくて仕方ない」
彼がふわふわ欠伸をこぼす。
目がしょぼしょぼするのか、ゆっくり瞬きをしている。
「ああ、そうだよね。帰るのが遅かったし」
「次からは帰らなくてもいいように準備全部揃えていくよ。」
「それは、まあ、うん。」
「嬉しいんだ?可愛い。蒼太って嬉しい時視線逸らすこと多いよね」
付き合ってから時間が経った。
おかげで彼には自分も知らない癖を指摘されるし、僕はそんな彼に慣れた。
なので、猫を被るのも最近は程々に、今じゃ自分をさらけ出す方が多い。だから思っていることは口にする。
「嬉しいよ。でも頻繁にお互いの家に泊まり合いっこするなら、同棲した方が効率的だなって思う。」
「おお……どうせい……」
あまりいい反応じゃなかった。
ショックじゃないのかと聞かれると頷けないが、でもそれは想定内。
「嫌ならいい。誰かと暮らすのってストレスになるしね。」
「嫌とかじゃなく……。心の準備が必要になります。なぜなら俺は蒼太が好きなので」
「僕も好きだよ」
「全世界に感謝」
ヒロ君は時折おかしなことを言って、項垂れることがある。
大体は嬉しさが極まった時。
「まあでも、そんな急がなくても良くない?俺達って運命の番なわけだし、離れることは無いよ、この先、きっと。」
「……そうかな。わかんないよ」
「え!?何で!何でそんなこと言うわけ!?」
声を大きくして、立ち上がる勢いでそう言った彼に驚く。
「びっくりした……嘘、冗談だよ。」
「冗談に聞こえない冗談はダメだと思います!」
「ごめんね」
少し肩を竦め謝ると同時、頼んだ料理が運ばれてきた。
「いいよ。俺の待たなくていいから先に食べてね」
「すぐ来ると思うから待つよ」
「そう?ありがとう」
「ううん」
そして予想通り間もなく運ばれてきたヒロ君のそれ。
二人同時に手を合わせた。
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