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第6話

お風呂から上がり髪を乾かしている最中も、少し気分は沈んだまま。 ご飯を作ってそれを食べ、テレビをつけてヒロ君が来るのを待つ。 ピンポーンとインターホンが鳴って玄関のドアを開けると、へらっと笑う彼が立っていた。 「おかえり」 「ただいま」 ちゅっとキスをされ、後ろ背にドアを閉めたヒロ君は、手を洗うと僕の手を取ってリビングに移動した。 「さっきの電話、ごめんね。同じ部署の人なんだけど、すごくお酒飲んで酔っ払ってて。」 「うん。気にしてないよ」 「本当……?ああ、よかった……怒ってたらどうしようかと……」 「それくらいで怒らないよ。それより、何で来たの?」 「何で来たのって……なんか聞き方冷たくない?」 苦笑したヒロ君はリビングに戻ろうとした僕を後ろから抱き寄せる。 お腹に回った腕を退かそうとして触れる。 「発情期が来ないこと、悩んでた?」 「あ……」 それが、そんなことを聞かれたので退かすことができなかった。 「あんまり悩ませたくないなと思って言わなかったんだけど、実は俺もなかなか発情期こないなとは思ってた。でもネットで検索したらあまり気にしなくて大丈夫だって。流石に半年や一年来ないと検査がいるってあったけど、そこまでではないだろ?だから何も言わなかった。」 「でも……発情期が来ないと番になれないよ。問診票書く時『はい』に丸してたでしょ。早く番になりたいってことじゃないの?」 「そりゃあなりたいけど、焦ったって仕方ないし。それにあれは『運命の番』だってことを書きたかったんだ。俺のものだってちょっとでもアピールしたかった。」 焦ったって仕方がないというのはわかる。 でもなんだろう。何故だか彼の言葉がストンと落ちてくれない。 「……あっそ」 「怒ったの?」 「怒ってない」 「嘘。こっち向いて」 「やだ。ねえ今日、泊まるの?泊まるなら早くお風呂入って来て」 「んー、どうしよっかなぁ」 「じゃあ帰って」 「冷たい……急に氷河期がきたじゃん。何、怒らないでよ。」 ちゅ、ちゅっと項にキスをされる。 オメガにとって項は弱い部分で、そこに触られると腰がズクンと疼いてしまう。 「やだ、やめてよ」 「怒らないって言ってくれたらやめる」 「あっ、ちょっと……!」 「ごめんね、俺嫌なこと言った?」 「言ってないし、僕も怒ってないから離して」 ギューッと抱きついてくるヒロ君を何とか引き剥がして向き合った。 どこか悲しそうな彼に溜息を吐く。 「今日は泊まって。髪乾かしてあげるから、早くお風呂入っておいでよ。一緒に寝よう。」 「……うん」 「はい、入ってきて。」 彼の背中を押してお風呂場に入れる。 しょげていたので、後で……慰めるわけじゃないけれど、怒ってないことも伝えるためにちょっとだけ構ってあげることにしよう。

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