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第17話

■ 翌朝、目を覚ますと綺麗な顔がすぐ横にあった。 おまけに、まるで自分が抱き枕になったかのように彼に抱きしめられていたので身動きが取れず、何とか抜け出そうとモゾモゾしていると、余計に力が強くなる。 「っ起きて!」 堪らず彼の腕をパシッと叩いた。 「ヒロ君、起きて……!お弁当間に合わない!」 「ん……」 「あ、こら!」 肩に顔を埋めてきた彼を押し退け、嫌そうな顔をしているヒロ君からなんとか離れて洗面所に行く。 顔を洗ってキッチンに立ち、お弁当作りを開始した。 お弁当が完成する頃、ヒロ君が起きてきた。 顔を洗いに行った彼は後ろから抱きついてきて「おはよぉ」と甘い掠れた声で伝えてくる。 「おはよう。朝ご飯作るね」 「……」 「……寝ぼけてる?」 お腹に回っている腕にググッと力が入って、より強く抱きしめられた。 そして右手を取られそのまま彼の頭に導かれる。 撫でてほしいのかな、と思いそうすると嬉しそうに僕の肩に顔を埋めた。 「朝ご飯はパンでいい?」 「うん……蒼太も?」 「僕もパン食べるよ。スクランブルエッグ作ろっか。ベーコンもあったからそれも焼いて」 「最高……。俺、卵割れるよ。」 「じゃあお願いします」 「殻が入っても許して」 「できるだけ取ってね」 「はーい」 冷蔵庫を開けた彼は卵を四つ取り出した。 フワフワなのをいっぱい食べたいらしい。 「炭酸水ってある?」 「何で炭酸水?確かあるけど……」 「ちょっと入れたらフワフワになるよ」 「そうなんだ。ちょっとってどれくらい?」 「大さじ二くらい?」 「わかった」 無事、殻を入れることなく卵を割った彼の手に大さじスプーンを握らせ、炭酸水を入れる。それから牛乳と、塩コショウを入れて混ぜてもらった。 その間にベーコンとパンを焼く。 「今ベーコン焼き終わったから、このフライパン使って。」 「これに流し込めばいい?」 「うん。半熟になったら混ぜてね」 「はーい」 朝からこういうの、いいな。 二人で朝食を作って食べる。 こういう毎日は楽しそう。 「できた!蒼太どこに、どこに盛り付ければいい!?」 「あ、ここにお願い」 「わかった!」 そうしてできた朝食を二人で朝のニュースを見ながら食べた。

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