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第22話

■■■ 土曜日。 仕事は休み。 今日はゆっくり過ごそうとベッドで微睡んでいると、ヒロ君が突然家にやってきて「一緒に家を見よう」と布団に潜り込んできた。 もう少し寝ていたい僕を抱きしめて話しかけてくるから結局目が覚めてしまって、ヒロ君が見せてくるスマホをちらりと見る。 「この家、ここの近くなんだ。二人で暮らすには丁度いいかなと思って見てたんだけど、どう?」 「……実際見てみなきゃわかんない」 ヒロ君の方に寝返りを打って、彼の肩に頬を付ける。 甘えるように頭を擦り付けるとそっと撫でられて気持ちがいい。 「見に行かない?」 「んー……今はやだ。」 スマホを奪ってベッドに置くと、彼は唇をへの字に歪ませた。 そんな表情を無視して彼を抱きしめる。 抱き枕みたいで丁度いい。 「あー、蒼太さんはまだ寝るの?」 「ヒロ君も一緒に寝よ」 グリグリ。くっついていれば彼がもぞっと動いて、僕の頬にキスを落としたあと、手が腰を撫でて背中に回された。 目が合って僅かに口角をあげれば、何故か唇を尖らせた彼。 「どうかした?」と聞くと、耳元に口が寄せられる。 「えっちしたくなっちゃった」 「……今は眠たいから、また後で……」 「蒼太がこんなにくっついてくること、あんまり無いから嬉しい」 「そうだっけ……?」 目を閉じれば名前を呼ばれ、ゆっくり開くと「お願い」と可愛くオネダリをされて、考えている間に肩を押され仰向けになった。 「ね、服脱がせていい?」 「もう……」 腰辺りに跨り、膝立ちになったヒロ君が背中を屈めてキスしてくる。 肩を押し返すけれど、そもそも、その抵抗も本気じゃないから、彼に手をスっと取られてベッドに押し付けられる。 何度もキスを繰り返されるおかげで、段々とスイッチが入ってきて、穏やかだった呼吸が乱れていく。

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