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第31話
「本当に久しぶり!え、ここら辺に住んでるの?」
「いや、俺はちょっと違うけど、まあ近いかな。」
盛り上がる二人。
久しぶりの再会に気分が高揚しているらしい。
ミナミと呼ばれたスタッフさんと目が合って、彼女は「あっ」と言葉を零す。
「すみません。本日担当いたします。宇垣美波です。よろしくお願いします。」
そして柔らかい笑顔を浮かべて挨拶をしてくれる。
こちらも気分が良くて「上住です。よろしくお願いします」と返事をした。
「アンケートにお答えくださってありがとうございます。一度お預かりしますね」
記入したアンケート用紙を渡すと、ヒロ君が笑うのを我慢した表情で、どうしたんだろうと目を合わす。
「なーんか変な感じがする。ミナミと敬語で話すの」
「ヒロ君、仕事されてるのに揶揄うのは良くないよ」
「揶揄うっていうか……擽ったくて」
すみません、と宇垣さんに言おうとすると、彼女もヒロ君と同じ気持ちなのか、苦笑していた。
どうやら僕が余計だったみたい。
「お二人でルームシェアされるんですか?それともどちらかが彼女さんと?」
「ルームシェアです」
ヒロ君がワクワクとおもちゃを買ってもらう子供のような弾んだ声で返事をした。
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