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第33話

■ 家に帰るともう夕方で。 ヒロ君は今日このまま泊まるのかな?と、一緒にキッチンに立ってご飯を作る彼に顔を向ける。 「ねえ見て!変な形の唐揚げ!」 「ホントだ」 楽しそうにケラケラ笑ってる姿に、つられるように笑う。 「今日は泊まるの?」 「泊まっていいの?」 「いいよ」 ぱあっと嬉しそうな顔。 その顔、好きだなぁ。 「今日は本当充実してるなぁ。朝から蒼太とずっと一緒だったし、久しぶりに美波にも会えたし。」 「……そうだね」 モヤ、と嫌な感覚が広がる。 ヒロ君が仲良さげに宇垣さんのことを美波って呼ぶのは、あんまり気分が良くない。 けれど、久しぶりに会えたならそりゃ嬉しいだろう。 さっき『わかってる』とも言ったし、ここで不機嫌になるのはきっと幼稚だ。 「久しぶりに会えるのって嬉しいよね。よかったね」 「うん」 「今度出かけてきたら?」 「んー……ちょっとご飯食べに行くとかはあるかも」 「いいよ。でもその時は教えてね」 カラッと揚がった唐揚げをお皿に盛り、テーブルに置く。 「俺と美波がご飯行くの、嫌じゃない?」 「うん。大丈夫」 「前は怒ってた」 前って……濱田さんの事を言ってるんだな。 「だってヒロ君と宇垣さんは友達なんでしょ?友達とご飯に行くのは普通のことだし、怒らないよ。」 納得したのか、ヒロ君はフムフムと頷く。 「蒼太が俺のこと、すごく信頼してくれてて嬉しい。」 後ろからギュッと抱きつかれる。 いつもならただ幸せを感じるのに、今日はやっぱりなんだかスッキリしていない。 お腹に回されている手をポンポンと叩いて解放してもらう。 ぐいっと無理矢理口角を上げて「ほら、続き。手動かして」とキッチンの台を指さし、この話題を切った。

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