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第37話
『今日は会えて嬉しかった。』
『今度ご飯に行かない?』
『久しぶりにいっぱい話したい。』
たったそれだけのメッセージ。
昨日の夜遅くに来ていたらしい。
別に怪しむ必要も無いのに、疑ってしまう自分が嫌だ。
そう思ってぐっと唇を噛んだ時、足音が聞こえ、慌ててスマホから手を離しベッドにうつ伏せになる。
バクバクしている心臓がバレないように、枕に顔を埋めた。
「蒼太、起こしたの怒ってる……?」
「ゔ……」
背中に重なるように乗ってきた彼のせいで、汚い声が出た。
「怒らないで、ね、ごめんね。」
「お、怒ってないから、降りてぇ……」
ノソノソ、上から降りたヒロ君。
僕もゆったりと起き上がってググッと伸びをし、何も無かったかのように「顔洗ってくる」と言い、洗面所に逃げる。
「……はぁ」
洗面台に手を着いて、大きなため息をつく。
勝手に人のスマホを見て、マイナスな気持ちになっている。
冷たい水を出して顔に掛ける。
顔を洗ったあと、軽く寝癖を直してヒロ君の元に戻るとスマホをポチポチ操作していた。
「……何か連絡があった?」
「昨日会った美波から連絡来てたみたい。『今度ご飯に行かない?』って。行ってきていい?」
スマホから僕に視線を移した彼は、小首を傾げて聞いてくる。
「うん。昨日も『いいよ』って言ったしね。今更ダメって言わないよ」
「ありがとう」
口角を上げた彼にウンと頷いて、聞き分けのいい人を演じた。
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