44 / 143

第44話

「んー……真樹はさぁ、中学生の時オメガだった僕にもすごく優しくて、そういうところ大好きだった」 「ありがとう。蒼太ってもしかしてお酒にすごく弱い?一杯しか飲んでなかったのに……」 バッグから財布を出して、上手くお金が取り出せずにそのまま真樹に渡す。 「ごめん、これ、適当に払ってほしいな」 「それカバンに戻してね。それから、ここに座っててくれる?」 「はーい」 返ってきた財布をバッグに入れ、真樹に指定された椅子に座ると、彼は少し僕から離れて、暫くして戻ってきた。 肩を貸してもらってお店を出る。 少し歩いて真樹に案内されるがまま、公園のベンチに腰かけた。 「真樹の家に、今度遊びに行きたいなあ」 「俺の?いいけど、凪さんにも聞いてみるね。多分いいって言うし」 「専務ってかっこいいよね」 「うん。」 「真樹とお似合い。二人とも、優しいし、専務のことも好きだよ」 「伝えておくね。凪さんも喜ぶよ」 頬を撫でるひんやりとした空気が気持ちいい。 ぼんやりしていると頭の中にヒロ君と宇垣さんの姿が浮かんで、隣にいる真樹の腕に自分の腕を絡めてみた。 「え、蒼太?」 「こんなに密着するのに、友達?」 「……」 「僕ね、あんまり知られたくないんだ。ヒロ君が誰かと触れ合ってるの、本当はすごく嫌だって。嫉妬深いのバレたくない」 腕を離して、空を見る。 今日はあんまり星が見えない。 「ごめんね、腕、抱きついて。」 「ううん。蒼太ってちょっと……馬鹿だよね」 「え、なんで、急に悪口言われた。腕抱きついたの怒ってる?」 「いや全く怒ってないよ。だってさ、嫌われたくないから平気なフリしてるんでしょ?橋本なら多分『嫉妬してる蒼太が可愛い』って言うと思うよ。それに、そんなに悩むなら初めから『いいよ』じゃなくて『嫌』って言えばよかったのに。」 「それはそう。」 正論を言われてしょんぼりしてしまった。

ともだちにシェアしよう!