47 / 143

第47話

「腕を組ませたのは……ごめん。言い訳になるけど、中学も高校の時もそういう距離感だったから気づけなかった。ただ、もうこの距離感はおかしいなって思って、気が付いてからは直ぐに離してもらったよ。恋人いるからそういうのはもう無しって話もした。」 「……そういう距離感って何」 「あー、なんて言えばいいか……男友達と同じ枠……?」 「綺麗な人なのに?」 「綺麗だから好きになるわけじゃないだろ?」 無意識に入っていた肩の力を抜いて、クイッと繋いでいる手を引く。 一歩僕に近づいた彼はもう一度「ごめん」と言った。 「宇垣さんのこと、一度も彼女にしたいって思ったこと無いの?」 「無いよ」 「……例えば、彼女がオメガでも?」 「その例えはよく分からないけど……きっとそれでも。」 その答えでモヤッとしていた胸が落ち着いて、ふぅと息を吐きヒロ君にトンともたれ掛かる。 「僕も、ごめん。嫉妬深くて嫌になった……?」 「ならないよ」 「疑われて、嫌だったでしょ。ごめんね」 「俺の方こそ、嫌な気持ちにさせた。」 背中を撫でられる。 そしてそのまま彼に抱きつこうとして、ここがまだ外だったことを思い出す。 「ヒロ君、帰ろう」 「あ、ホントだ」 キョロキョロ辺りを見渡して誰もいなかったことに安心し、ヒロ君と手を繋ぎながら僕の家に帰った。

ともだちにシェアしよう!