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第56話
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晩御飯が完成してテーブルに並べる。
ヒロ君は子供のように目をキラキラさせて、食べていい?と聞いてきた後、慌ててスマホを取りだし写真を撮り始める。
「え、ちょっと、写真撮るの?そんなに綺麗じゃないのに」
「綺麗だろ。俺はハンバーグ作れないし、こうやって彩り良く野菜とか盛り付けるのも苦手。だから凄いなって思うし……。めちゃくちゃ美味しそう。食べていい?」
「あ、うん。どうぞ」
「いただきます!」
勢いよく食べる姿が可愛い。
肘を着いてぼんやり彼を見ていると、ふと目が合ってふんわりと微笑まれた。
「わぁ……」
あまりの整った顔に驚いて、その微笑みにはもはや感謝したくなる。
そう思ったのと同時、ツキンと項と下腹部に痛痒い感覚が走った。
咄嗟に項と下腹部を撫でる。
「どうかした?」
「ううん」
不思議な感覚に戸惑いながら、お箸を持った。
じーっと見つめてくるヒロ君に気付いていないふりをして。
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