57 / 143
第57話
ご飯を食べた後、ヒロ君が食器を洗ってくれた。
それに加えて、料理をしている間にお風呂を洗っていてくれた彼のおかげで、このあとは何もすることなくて温かいお湯に浸かれる。
「ヒロ君、先にお風呂ゆっくり入ってきてね。」
「えー!一緒に入ろうよ」
「狭いじゃん」
「それがいいんじゃん!ピッタリくっついて入ろうよぉ……」
ズルズル、縋るようにして抱きついてきた彼。
それが面白くて思わず笑うと、同じように笑った彼に手を引かれお風呂場に到着した。
「入るって言ってないのに」
「はーい聞こえません。バンザイしてー」
子供扱いされて眉を寄せるのに、構わず服を脱がされた。
先に浴室に入り、頭からシャワーを浴びる。
そのままシャンプーを手に出して髪につけた。
「シャワー貸して」
「んー」
髪を洗っている最中、服を脱いで入ってきた彼が後ろに立ってシャワーを浴びる。
髪を洗って泡だらけでヒロ君を見ると、彼はシャワーを僕に向けて泡を流してくれた。
「体洗うでしょ?俺やったげる」
「じゃあ顔洗っとこ」
「え、同時にするの?面白すぎない?」
「時間短縮」
そう言って洗顔の準備をしてモコモコの泡を立てる。
それを顔に押付けたのと同時、項に彼の手が触れてゾワっとした感覚が走る。思わずブッと吹き出してしまった。
「え、蒼太?大丈夫?」
「……びっくりした」
「あは、泡ほぼ無くなってるじゃん」
少なくなった泡。
仕方ないけど面倒だからこのまま洗ってしまう。
「前は自分で洗う?俺がしてもいい?」
「自分でやる!」
「はーい」
顔についている泡を落とし、体の前面は自分で洗った。
全部を洗い終えてスッキリした後、待ちに待った湯船に浸かってドロドロ溶けてしまうかのように体から力が抜ける。
ともだちにシェアしよう!