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第59話
「髪だけ乾かしたいんだけど……」
「俺がやったげる!」
「お願いします」
ベッドに運んでくれた彼はすぐに洗面所に戻ってドライヤーを取ってくる。
丁寧に髪を乾かしてくれる彼は時々イタズラに僕の耳をキュッと抓ったりして遊ぶ。
「もー!耳触るのやめて!」
「もちもちで好き」
「好き嫌いの問題じゃなく!」
そうしてじゃれている内に髪は乾いて、ドライヤーを切ったヒロ君は僕の正面に回って、何度目かのキスをする。
「蒼太すっごくいい匂い」
「そうかな?あんまり感じないけど」
「んー、なんだろうね?」
口角を緩く上げたまま、近い距離で名前を呼ばれる。それだけで胸がホクホクと温かくなって幸せだなと思える。
「体、辛くない?大丈夫?」
「体……?全然辛くないよ?」
「そっか。ならよかった」
何でそんな質問を?と疑問に思っている間にそっと押し倒され、申し訳程度に身につけていたバスタオルを取られる。
ヒロ君の顔が首筋に埋められてそこを何度も唇が触れた。舐めてくる舌が熱い。それが気持ちよくてもっとして欲しくなってしまう。
「あ、明日、仕事だから……激しいのはナシで……」
「わかってるよ」
お腹から胸にかけてゆっくりと撫でられ、下腹部がジクジクと疼くような感覚がする。
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