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第67話

「いや……嬉しそうで可愛くて思わず……。あんなオープンなスペースじゃできないから、連れ込んじゃった。ごめんね」 「あ、いや……」 「頑張ってね。応援してる。でも蒼太って頑張りすぎるところがあるから、無理しないようにしてね。何かあれば頼って。できることは手伝うよ」 目尻を下げて、柔らかい優しい笑顔に嬉しくなって自然と口角が上がる。 「ありがとう!」 「お」 ギューッと今度は僕から強く彼を抱きしめる。 背中をポンポンと撫でられた後、彼の両手が僕の顔に触れて頬をぐにぐに捏ねるように包まれた。 いつもならやめてよって止めているところだけど、今日は甘んじてそれを受け入れる。 むしろもっと甘やかしてほしいくらいだ。 だけど我慢。 そっと離れて「ケーキ、楽しみ」と言うと「ロウソク何本つけよっか」と笑って返してくれる。 「誕生日じゃないよ」 「でもケーキだぜ?ロウソクつけたいじゃん」 「一本ずつ立てる?」 「え、何言ってんの?ホールケーキ買うから一本ずつじゃ間に合わないよ」 「ホールケーキ買うんだ……!?」 「当たり前だろ。お祝いごとじゃん」 たった二人なのにホールケーキを買うとは思っていなかった。 「プレートも描いてもらお」と言う彼に、大袈裟だなと思う反面、そうやってお祝いしてくれる彼がとても愛おしかった。

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