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第76話
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パッと目が覚めた。
ベッドから降りるのが面倒で、枕元のスマホを手に取り、まだ眠るヒロ君に擦り寄って画面を見る。時刻は午前八時五十分。
「ん、蒼太、眩しい」
「あっ、ごめん」
ヒロ君がもぞっと動いて掠れた声でそう言った。
「今何時……?」
「もうちょっとで九時。まだもう少し寝る?」
「ん……んー……蒼太ぁ」
「おぉ……重た……」
上に重なってきた彼。
甘えたいのかなと思い抱きしめて背中を撫でてあげると小さく笑い出す。
「フェロモン、また濃くなってる」
「……外行かない方がいい?」
「蒼太が怖いならやめとこう」
「んー……体調には出てないんだけど……」
「熱っぽいとか、なんとなく怠く感じたりもない?」
「熱っぽさは感じないし、怠いというよりは眠いからもうちょっと寝ようかな」
そう言うと、ヒロ君は僕の上から降りて元の位置に戻り、僕を抱きしめてくる。
「今日はゆっくり過ごそう。たまには一日ベッドの上でもいいでしょ」
「もったいない気もするけど」
「いいじゃん。ゆっくり出来る日は貴重だよ」
ちゅ、と頬に落とされるキス。
トントンと優しくお腹を叩かれると眠気がすぐにやってきて、目がとろんとする。
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