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第77話

昼前になって目が覚めた。 隣で寝ていたヒロ君はもう居なくて、随分寝たなと思いながら起き上がってリビングに出る。 「ヒロくーん」 「お、起きた?おはよぉ」 ソファーに座りテレビを見ていた彼の隣に凭れるようにして座る。なんだか体が重たくて、それにいつもよりも甘えていたい気分で。 彼の肩に額をつけて「寝すぎた」と言うと、スンスン匂いを嗅がれた。 「体何ともない?」 「ちょっと怠い気がする」 「だよね。……俺、まだ今日の分の薬飲んでないから飲んどくね。」 「あ……僕は?」 「飲まなくていいよ。……わかってるよね?」 突然肩を持たれ、真剣な顔で真面目な声音で聞かれてドキッとした。 「わかってる、って……?」 「番のこと。」 「つがい」 もしもオメガに発情期が起こったら。 アルファに項を噛まれると番になる。 そのことをわかっているよね、と確認されている。 つまり、番になってもいいよね、と聞かれているわけで。 「僕は──」 返事をしようとしたその時、ヒロ君のスマホが音を立てた。

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