77 / 143
第77話
昼前になって目が覚めた。
隣で寝ていたヒロ君はもう居なくて、随分寝たなと思いながら起き上がってリビングに出る。
「ヒロくーん」
「お、起きた?おはよぉ」
ソファーに座りテレビを見ていた彼の隣に凭れるようにして座る。なんだか体が重たくて、それにいつもよりも甘えていたい気分で。
彼の肩に額をつけて「寝すぎた」と言うと、スンスン匂いを嗅がれた。
「体何ともない?」
「ちょっと怠い気がする」
「だよね。……俺、まだ今日の分の薬飲んでないから飲んどくね。」
「あ……僕は?」
「飲まなくていいよ。……わかってるよね?」
突然肩を持たれ、真剣な顔で真面目な声音で聞かれてドキッとした。
「わかってる、って……?」
「番のこと。」
「つがい」
もしもオメガに発情期が起こったら。
アルファに項を噛まれると番になる。
そのことをわかっているよね、と確認されている。
つまり、番になってもいいよね、と聞かれているわけで。
「僕は──」
返事をしようとしたその時、ヒロ君のスマホが音を立てた。
ともだちにシェアしよう!