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第81話

「え、本気?本気でもう帰るの?」 「うん」 「何で?発情期がくるかもしれないじゃん」 「こないかもしれないし……。」 そろそろ帰るね。そう言った途端ヒロ君は時が止まったように固まり、少しして慌てて駆け寄ってきたかと思えば縋り付くように抱きしめられた。 「蒼太ぁ」 「ねえ、昨日聞いたでしょ。一人の時間が必要じゃないかって。僕はたまには必要だと思う。」 「……わかったよ」 寂しそうにスルスルと手が離れていく。 なんだか申し訳なく思えて、その手をそっと掴んだ。 「明日のお昼、一緒に食べない?お弁当作るよ」 「食べる」 「うん。じゃあ、えっと、また明日ね。」 「送っていこうか……?」 「いいよ、大丈夫。」 「じゃあ下まで送る」 名残惜しそうに僕を見る彼は、一緒に玄関を出てマンションの下まで着いてきた。 そこで緩く手を振って「また明日」とさっきも伝えた言葉を伝える。 「うん。気をつけてね」 「はーい」 そうしてヒロ君と別れて帰路に着く。 そういえば!フェロモンが漏れているかもしれないんだったと大切なことを思い出し、念の為に抑制剤を飲んで、一人のんびりと歩いた。

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