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第82話

■■■ ここ数日、誰かにつけられているような気がする。 会社が終わり用事がない時は一人で家に帰るけれど、真っ直ぐ帰るのは家が特定されそうで怖くて、用もないのに近くのショッピングモールに入ってら無駄に歩き回り、そうしてようやく家に帰る。 そういう不安を感じてはいるけれど、ただの勘違いだったらと思うと、誰かに伝えたところで自意識過剰だと笑われるのが嫌で言えなかった。 けれどヒロ君とのランチ中、ついつい吐いてしまった深い溜息に彼が大きく反応した。 「どうしたの?仕事疲れちゃった?」 「……ちょっとだけ」 仕事は順調。 だけど初めてのする事もあって、最近は残業することもしばしば。 ヒロ君は辺りを見回し、人がいないことを確認するとそれでも顔を寄せて小声で話してくる。 「お弁当、作ってくれるの嬉しいけど、蒼太がしんどい時は無理しないでね」 「うん。ありがとう」 「こちらこそ。あー……ちょっと寝る?薄らクマできちゃってる」 伸ばされた手が目の下をサラリと撫でる。 変な不安から寝つきが悪かったり、眠りが浅かったりしていた。

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