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第91話

「蒼太、薬飲んどいて」 「……匂いしてる?」 「うん。ほんのりと」 ランチを終え、会社に戻る途中。 ヒロ君にこっそりとそう言われ、頷いた。 多分発情期にはならないだろうけど、念の為に後で飲んでおくことにする。 「今日、酔っぱらっちゃって帰るの難しそうなら連絡してね。迎えに行くから」 「ありがとう」 「あんまり飲みすぎないでね。」 「わかってるよ」 ヒロ君と別れ、席に戻る。 コソッと抑制剤を取りだしてそれを飲んだ。 頭が痛い。 気持ちが沈んでしまって、ずっと考え続けてしまう。 大きな溜め息を吐く。 昼休憩が終わるまであと十分。 少しでも仕事を進めて、今日は早く上がらなきゃ。 北田さんとは突然行くことになったけど、今のこのこんがらがって疲れた頭にはお酒を飲むのがちょうどいいのかもしれない。 気晴らしに酔っ払って、少しの間でも考えることをやめたい。 早めに仕事を再開して、定時になる頃にはある程度仕事が片付いた。 来週、これを上に提出して見てもらわないと。 定時になってパソコンを閉じた。

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