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第92話
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「歓迎会以来だな、上住君と飲むの!」
「そうですね」
会社近くの居酒屋でビールを飲んで、チョビチョビご飯をツマむ。
下戸なので、一杯飲むとそれだけで顔が赤くなり体もカッカと熱くなる。
「最近どう?仕事は。無理してない?」
「あはは、大丈夫ですよ。皆さん助けてくれるし。」
「それは上住君が真面目だし、頑張ってくれてるのを知ってるからだよ。」
「ありがとうございます」
新しいビールが運ばれてきて、それにまた口をつける。
美味しい。久々に飲んだ。
ポンポンとテンポよく会話をしたいたのが、段々とフワフワしてきて、北田さんが僕の前にお水を置く。
「はい。そろそろ水飲んで」
「ぁ、すみません」
「それで?やっぱりプライベートでなんかあったんだろ。」
「……ちょっとだけ」
「俺が聞いていい話?」
どうしよう、話していいのかな。
そう思っていたのに、お酒に侵された頭は勝手に口を開いて声を出す。
「……恋人の友達と会ったんです。その人のこと、恋人は何も思ってない、昔からただの友達だったって言ってたんですけど……、その友達は付き合ってたって。」
「ホヮ……」
「んふ、なんですかその反応」
「いや、なんか、面倒くさそう……。それで上住君はその……恋人さんのこと、疑ってるんだ?」
ハッキリと言われると頷きたくなくなる。
信じられないんじゃない。寧ろヒロ君のことを信じたい。
だけど。
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