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第93話

「わからないんです」 「何が?」 「信じたいのに、彼の友達が付き合ってたって言ってきて……。すごく綺麗な人だから、僕は自分にそんなに自信が無いし……」 「……ン?」 「……彼女が彼のストーカー気味になって、最近その事については謝られたんですけど、つい昨日会った時に同じ人を好きになったってことは気が合うよね、とか言われて!」 「ちょ、ちょっと待って。整理させて」 支離滅裂な説明に北田さんが両手を突き出しストップをかける。 口を閉じてムスッとしながら彼を見ると、彼はフゥと息を吐いた後、頬をポリポリかいて「えーっと」と僕から視線を逸らした。 「まず、上住君の恋人って男性?」 「そうです」 「ワ……驚いた。あ、大丈夫。偏見とかない。」 北田さんにそう言われた瞬間、色んなことを口走ってしまったことに気がついて、今更口を両手で塞ぐ。 「ぁ、わ、な、何も、聞いてない、ですよね?僕、何も言ってないし……」 「いやさすがに無理がある」 誤魔化せるわけないよなと項垂れると、肩をポンポン叩かれる。 ちらり視線を上げて、肩を落とした。 「つまり、彼の元カノだって言う人が現れたんだ?」 もうここまで話してしまったんだから何も隠すこともない。 白状するような気持ちで洗いざらい説明すると、北田さんは「大変だな……」と同情するような目を向けてきた。

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