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第111話
「それより、蒼太。首は痛くない?」
「首……?」
そっと言われた場所に手を持っていく。
触ると少し痛んで、ハッとした。
「あ、そっか……番……」
「うん。発情期中に噛んだ。……やだった……?」
雨の日の匂いがして、なんとなく彼が不安がっているのがわかった。
咄嗟に「そんなことない!」と言って、お腹に回る彼の手を握る。
「嬉しい。本当に。ヒロ君が大好きだから、番になれて幸せ。だから……ありがとう」
「……俺も。蒼太と番になれて嬉しい。こちらこそありがとうね」
「ッン!」
項にキスをされる。
甘い痺れが走って、お腹の中がキュンとした。
そんな僕を知ってか知らずか、彼はお腹をトントンと撫でてきた。
「お風呂入る?それからご飯食べて……話しない?」
「あ……うん。話する。あの後、どうなったのか知りたい……」
「うん。じゃあまずお風呂入りに行こうね」
「っわ!」
いきなりの浮遊感にギョッとする。
僕を抱っこした彼は、ベッドから降りるとお風呂場に一直線に向かう。
「ま、待ってよ、重たいでしょっ!」
「重たく無いわけじゃないけど、腰立たないだろ。」
「……」
ムグっと黙って大人しく彼に運ばれる。
履かせてくれていた下着を脱がされ、お風呂場の椅子に座ると足から優しくシャワーのお湯をかけてくれる。
「熱くない?」
「大丈夫だよ」
「体勢辛くなったら教えてね」
「うん。ありがとう」
いつもよりずっと丁寧で優しく髪と体を洗われて、なんだかくすぐったい気分になった。
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