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第116話
近くの百貨店で菓子折を買い終え、ヒロ君と帰宅途中、ふと人目を集めている人達がいた。
何かをしている訳では無いのに、チラチラと見られている彼ら。
もしかすると恋人同士なのか、二人の男性が手を繋いで歩いていた。
「……」
それをつい、眺めてしまった。
失礼なことをしているとわかっていても目を離せなくて。
立ち止まる僕をヒロ君は首を傾げて見ている。
「蒼太?」
「……すごく堂々としてる」
彼らが番かどうか、恋人同士なのかどうかは置いておいて、それでもただ凄いなと思った。
世間からの視線は怖い。
今だって遠巻きにヒソヒソ話す人達がいる。
けれど彼等は二人の世界にいるようで、楽しそうに話して歩いている。
「……ねえヒロ君」
「んー?」
「ヒロ君もああいう風に……僕と手を繋いで歩きたいなって思う……?」
僕の視線を追いかけた彼は、二人を視界に入れると『なるほど』というように小さく頷く。
「……まあ、できるならそう思うけど、無理にすることじゃないよ。そもそも手を繋ぐ行為が苦手な人だっているんだし。」
「周りにいる人達に何か言われるの怖くない?」
「んー……自分で言うけど、俺って見た目は良い方じゃん?それにアルファだったからか、小さい頃からよく人に見られたり、噂されたこともあって。だから今更怖いとは思わないな。そもそも気にならない。」
なるほど。
彼がいつもオープンでいたり、周りを気にしないのは幼い頃からあったいくつもの視線に慣れているからなのか。
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